Polaris

□3章
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「どうしたの?」


私は絵名ちゃんに尋ねる。


「彼女、アマンティって言うんだけど、凄いんだよ?

占いやってたらしくて、私が5人兄弟って言うのもせりかちゃんが1人っ子っていうのも、真壁さんに奥さんとお子さんがいるのまで当てちゃったの。」


「新田さんの弟がいるっていうのは外れちゃったけど、お姉さんの事はバッチリ当てちゃったの。

美月ちゃんもみてもらいなよ。」


興奮気味にそう言った絵名ちゃんとせりかちゃん。


「どうぞ?」


せりかちゃんの言葉を聞いたアマンティさんはそう言って私の目の前に立った。

インドって、そういうスピリチュアルな文化が盛んだって聞くしなぁ...


「う〜ん...年の離れた弟さんと......素敵な彼氏さんをお持ちなんですね。」


義理の弟の存在まで当ててしまったアマンティさんは日々人のことまで見抜いたようだ。


「「「素敵な彼氏...」」」


その場にいた数名がボソリとそう呟く。


「新田さん...もしかしてまた。」


前に日本人アスキャンにバラした新田さんをじーっと見つめる。


「俺じゃねぇって。」


新田さんは少し笑いながらそう言った。


「本当に⁇」


「本当ですよ美月さん。

新田さんからは何も聞いていません。」


私が新田さんを疑っているとアマンティさんが言った。


この前JAXAの人達にバレてしまったばかりだというのに、このままだとNASA中の人達に知れ渡ってしまいそうな勢いだ。


そんな不安が浮かび、私が深〜いため息を吐いていると今度はムッちゃんが見てもらっている。


NASAって...本当に凄いなぁ......



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数日後、NASAでの座学を終えた私達は迷彩のジャンプスーツに着替え、10kg弱ある荷物を背負いながら砂漠地帯をひたすら歩くというサバイバル訓練を行うことになった。


指導員のマイクさんやローリーさんと合流し、昼食を食べながらこれからのことについて教えてもらう。

真壁さんが初日のリーダーとなり、私達はひたすら前へと進んだ。

夕方、食料をゲットした私達はそこで休む事になった。


「俺とムッくんでテント張りを、新田くんとアマンティと天乃さんで薪を集めて火を起こして、北村さんと伊東さんで食事をお願い。」


テキパキと指示をしてくれたのは今日のリーダーである真壁さん。


「この木、よく燃えそうだな。」


火起こし組の三人は周辺を歩き、薪になる木を探す。


「でもこれじゃあ少し太いから着火用の細い木や繊維がないと...」


「美月さん新田さん、一度運びましょう。」


私の心配を余所にこうなることを見据えていたらしいアマンティが、すでにたくさんの細い木や木の皮を集めてくれていた。


「流石だね、アマンティ。」


私は彼女に笑顔を向けて言う。



やはり彼女の能力を侮ってはいけない。


私ももっと...何かみんなの役に立たないと...。



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サバイバル訓練5日目の我がE班の今日のリーダーはムッちゃん。

今朝、マイクさんから伝えられた順位でやっと4位に浮上することができた。


新田さんがリーダーとなった昨日の夜、私達は食料を担いだまま更に先へと進んだのだ。


新田さんの"順位の付くものなら1位で"という考え方に同意見の私。


せめてでも4位をキープしておきたい。


そう思った時だった。


「レイジさんが...」


突然そう言ってみんなを立ち止まらせたアマンティ。


いつの間にかいつも一番前を歩いていたはずの新田さんを追い越していたらしく、後ろを振り返ってみると彼は荷物を漁って何かを探していた。


「どうしたの?」


「悪い。ごめんみんな。

俺...戻るわ。」


突然そう言った新田さん。


「何言ってんだよ...!」


ムッちゃんはそう言った。


一体どうしたのだろうか。

今まで散々一番を目指していた彼が、なんで戻ろうなんて言い出すの?


「携帯を落とした...昨日の2度目の休憩地点までは確実に持ってたんだがここにくるまでのどっかで落としちまったらしい。」


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