like a rainbow

□復帰
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「…もしもし。」


少し気まずさを感じながらもヤスの電話に出る。


「ソフィーおまえ、アルバイトってうちの練習の邪魔するなよ?

…なに言ってんのヤス!そんなんじゃないってば‼」


思ってもなかったその言葉に私は傷ついてしまった。


「…まぁいいけど。

さっきのことについてちゃんと話したくておまえのマンションのエントランスでずっと待ってんだけど、まだ帰らないの?」


「……それはまずいよヤス‼ここ最近、カメラ持った害虫が私を狙ってるんだよ‼

悪いけどマンションにはしばらく来ないで。…それに、さっきのことについては別になんとも思ってないよ??」


私はそう言った。

少し言い方がキツくなってしまったかもしれないが仕方がない。


「お前が良くても俺は良くない。

…そう言うなら今日は帰るけど。
また今度ちゃんと話そう…絶対だ。」


そしてヤスは最後に「仕事頑張れよ。」と呟いて電話を切った。








ーーーーヤスsideーーーー


ソフィーと約束した日の夕方、俺は仕事終わりに最寄駅のファッション雑貨店で適当にパジャマとタオル、歯ブラシ...そしてトリートメントを買って帰った。


家に着き、ソフィーが言っていたラジオ番組をつけてみると丁度シナモンズが出ている。


ラジオをから聞こえるソフィーの声をBGMに、持ち帰った仕事を片付けながらソフィーが来るのを待った。

そしてその後で家に来たソフィーが持っていた大量のプレゼントにやっぱシナモンズは人気なんだと思い知らされる。




そして翌日、ブラストの練習でスタジオにいるとソフィーから着信入った。

ソフィーがブラストの練習に来る事になった。

いつもなら練習中の電話にも遠慮するソフィーがうちの練習に顔を出すなんて珍しい。


30分後、訪ねて来たソフィーに1番に駆け寄ったのはナナだ。

そしてすぐにソフィーの服を捲り上げたナナに、俺はついスティックを落としそうになり、焦ってスティックを掴む。


すぐにソフィーとナナの間に入ったノブだったが、ソフィーの服はしっかりと捲れ上がり、下着まで見えてしまっていた。

事の発端は俺の発言だろう。


麻雀大会の時につい、レイラの腹筋が割れてたと言ってしまった俺。

ソフィーも割れてるかと、ナナは相当気にしていた。

俺はため息をつきながらソフィーに近づき、慰める。

シンがソフィーの下着について子供っぽいと言い出すと、ソフィーは半べそをかき、さらにはお嫁にいけないなんて言い出した。

カッコつけて"俺が貰ってやる"と言ったものの、ソフィーはそういう問題じゃないと、怒ってしまった。

まぁまぁ本気で言ったつもりだったのに...女はよく分からない。


そしてその後、ナナの行動を弁解するかのようにノブがソフィーの腹筋を見たかっただけだと言うと、自然と俺が昔にレイラと付き合ってたという話がソフィーにまで伝わってしまった。


......隠してた訳ではないがなんだか複雑だ。

きっと今何かを言ったって無駄なのかもしれない。


後でゆっくり、ソフィーと話さなきゃいけねぇ。


練習の邪魔にならないように終わるまで外で待ってると言ったソフィーだが、その後の練習はあまり集中して出来なかった。

何度ナナに怒鳴られたかわからないその後の練習。

ナナもナナで、ソフィーの腹筋が割れていることに対して苛立っていたのかもしれない。



スタジオのレンタル時間ギリギリまで練習をしてロビーへ行くと、先に出たナナはソフィーに引き抜きならゴメンだと言っていた。


やっぱりあいつはレンのことをまだ引きずってるのかもしれない。


だけどそれよりも俺はソフィーが一度も俺と目を合わさなかったことが気になった。


……メンバーに頼りにされてるのに俺は、自分とソフィーのことが気になって仕方がないんだ。


「ねぇヤッさん、ノブさんどこか行っちゃったし今日泊めてよ。」



飛び出していったソフィーとノブを見送った俺とシン。

シンは俺の隣を歩きながら言った。


いつの間にかナナはタクシーに乗って、レンの家へ向かったみたいだ。


「仕方ねぇなぁ。」


俺はそう言って、シンと一緒に自宅へと歩いた。
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