暗闇の先に

□19,新しい世界
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「メイ、リックから聞いた。中に入るって?」


夜、見張りを交代したばかりのダリルは眠れない仮眠時間を過ごす私の隣にやってきて言った。


「うん。

......キャロルがマギーのそばに居てくれるって。」


隣に腰を下ろしたダリルの肩にもたれかかって言う。


「気をつけろ、躊躇するな。」


そんな私の肩にそっと手をかけ、ダリルは言った。


「ありがと。」


彼なりの優しさをすごく感じる。


「少し寝る。」


出発まであと1時間ほどだろうか。

数人は目を覚まし始めたというのにダリルは今から寝るだなんて。


私はそのままダリルの顔を見上げ、彼にキスをした。





夜、車一台で正面突破したティム。

彼が入り口に行くと、警戒の赤いライトが点灯した。


「そこで止まれ!名乗りやがれ。」


「ヒルトップのアンディだ。持ってきた。」


「出ろ...奴か?」


少しずつ建物に忍び寄ると、そんな声が聞こえてきた。

どうやら中から武装した男が2人出てきたみたいだ。



「こりゃ最高だ。全く最高だぜ。」


「鼻を殴りやがったな。」


どうやら2人ともあの首がグレゴリーのものだと信じたようだ。

それからすぐ男の1人が人質を返すために中へと戻った。


ダリルはその隙に男に忍び寄り、喉をナイフで切りつける。

その後、脳天にナイフを突き刺した。

私たちは銃を構えながらもダリルの殺した男を片付け、すぐに元の場所に撤退する。


「ほらよ、連れてきたぜ。」


そう言いながら人質を連れてきた男をミショーンが刺した。


リックが頭を刺し、男が持っていたキーをダリルに渡す。

ダリルが鍵を開け、私たちは順に侵入した。


「部屋を全部調べろ。誰かいたら殺せ。」


リックのその言葉通り私たちは進み、ロジータ、アーロンの後を追いかける。

一つの部屋にたどり着き、そおっと入ってみると、眠っている男たちを見つけた。


ロジータはアーロンに男の1人を殺すように指示をする。

だがアーロンは男の頭の上でナイフを構えるが、中々刺せない。


私は横から割り込み、彼の代わりに男の脳天ににナイフを突き刺した。

アーロンは驚きつつもホッとしたような表情浮かべる。


...この感覚は父を殺した時と同じだ。

......そう、私がこの世界になって唯一生きている人間を殺した時と。



それから足早に次の部屋へと行き、私はもう1人、男を殺す。


そしてその時、突然警報が作動した。

割れるような警報音が施設中に鳴り響く。


その後で銃を乱射する音が聞こえた。


「......行こう‼早い所武器庫を探さなきゃ‼‼」


ロジータはそう言って駆け出した。


私は前方と後方を確認しながら前を歩く2人に付いて行く。

こんな風にサイレンを鳴らされるなんて...予想してなかった。


「音を止めに行かなきゃウォーカーに囲まれる‼

...コントロールルームを探そう‼‼」


私はロジータとアーロンに伝える。


だが、廊下に出てすぐのところでリックと救世主がやりあっている所に合流した。


私もリックに加勢するが、すぐに反対からも救世主がやってくる。


私がそちらに向けてライフルを乱射すると、リックの方がちょうど倒し終えたようで、途端に背後からも加勢するように弾が飛んできた。


それからしばらく銃撃戦は続き、私たち全員が外に出る頃にはすっかり夜が明けていた。

私は歩きながらもテーピングをした手をぐるりと回し、ストレッチする。

ずっと銃の衝撃を受けていたせいか、いつもより自由が効きにくい。


...まぁそれも仕方ないか。


車の方へと向かうその時、爆音を出しながらバイクに乗り、1人の男が出てきた。


「あの野郎‼」


そんな男にいち早く反応したのはダリルだった。


私は急いで銃を構え、男に向けて発砲する。

男はバイクから落ち、ダリルが馬乗りで殴りかかった。


「どこでこのバイクを手に入れた?」


走ってダリルのそばに行くと、ダリルはそう言っていた。


あぁ...…このバイク、見覚えがあると思った。


「殺せよ、皆殺しだろ⁇」


男がそう言った時、男の持っていたトランシーバーから女の声が聞こえてきた。


「銃を捨てなさい、そこのあんたよ。

全員武器を捨てなさい。」


リックはトランシーバーを拾い、言った。


「出て来い話をしよう。」


ここには男の人しかいないみたいだったが、トランシーバーで喋っているのは女の人だ。


「出てかないけど話す。

キャロルとマギーについて話しましょう。」


そう聞こえた途端、私たち全員息を飲んだ。


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