Philosopher's Stone
□3,組み分け帽子
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しっかりと目を見て話してくれるおじさんに相槌をしながら話を聞いた。
そんな人がママとどんな関係があるというのだろう。
そしてまた気分が悪くなるのを感じた。
最近こんな事がよくある。
はじめは少しクラクラするぐらいなのだが、その目眩は徐々に酷くなっていく。
「おじさん...私、少し疲れちゃって、明日も早いからそろそろ「そうだな。
顔色もあまりよくないし横になるといい。
おやすみ。邪魔してすまなかったね。」
立ち上がりながらそう言ったおじさんはジニーの部屋を出て行った。
気分が悪くなってしまった私はその後ベッドに横になるとジニーが帰ってくるのを待たずして眠ってしまった。
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翌朝、必要以上に大きな音で起こされた私。
いつもなら双子によって改造された時計を止めてからビルが起こしに来るまで寝ていたのだが、その日私はすぐにベッドから出て身なりを整え、ユキと共にリビングへと向かった。
「あぁ、今起こしに行こうと思ってたんだ。」
ビルと廊下ですれ違った私。
「どうもありがとう。」
私はビルにそう言う。
「あらおはよう。
ビル、サンドイッチを作るのを手伝ってちょうだい。
サクラ、顔色が良さそうで良かったわ。
悪いんだけどロンとフレッドとジョージを起こしてきてくれる?」
きっとおじさんから昨日顔色が悪かったと聞いたのだろう。
朝から忙しくしていたおばさんに挨拶を済ませた私は抱いていたユキを床に降ろし、先にフレッドとジョージの部屋に行った。
「2人とも起き...「やぁサッちゃん、もう起きてるよ。」
「それなら良かった。
私はロンを起こしに行くわ。」
2人が起きていた事で仕事がひとつ減り、私はロンの部屋に向かおうとする。
「待ってよサッちゃん。」
「今からロニー坊やに新学期前最後の悪戯をするんだ。」
なんだか楽しそうに言った2人。
2人の手の中には小さなラッパがいくつかついた置物があった。
「それは⁇」
私は2人が持っているものを指さしながら尋ねる。
「気になるなら見においでよ。
この夏の最高傑作さ。」
「でも、君へのプレゼントもまぁまぁいい出来だったよなぁ、相棒。」
そう言って私に笑い、2人は私を置いてロンの部屋に行ってしまった。
私が追いかけてロンの部屋に行くと、一生懸命に"何か"をセットしている。
「それじゃサッちゃん、「ちょっと失礼。」」
そう言ってフレッドに右耳を、ジョージに左耳を塞がれた私。
するとその直後、置物についていたラッパは動き出し、塞がれた耳に微かにラッパの音が聞こえた。
慌てて飛び起きたロンに2人は私の両隣で満面の笑みを浮かべている。
そして2人の口元は"大成功"と動いた。
「何事だ?」
2人がラッパの音を丁度消し終えた頃、杖を片手に顔を見せたアーサーおじさん。
「サッちゃんがロニー坊やを起こしに行くって聞いたからちょっと手を貸したのさ。」
「助け合いは大事だろ?」
そんな2人の様子にホッとしたのかおじさんは杖を降ろしてリビングへ戻っていった。
「ねぇ2人とも...準備する間にロンが起きてたらその悪戯は失敗してたわよ?......なにか改善が必要だと思うんだけど。」
「改善?勘弁してよ。十分じゃないか。」
そうため息まじりに言ったロンはブツブツ言いながらベッドから出た。
どうやら効果的面らしい。
「最高だなサッちゃん。」
「それはいい案だ。」
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「それじゃ7人とも気をつけて。」
アーサーおじさんはロンドンに向かうタクシーに乗る私達にそう言った。
一台目の車にジョージ、フレッド、おばさん。
2台目の車にはパーシー、ロン、私とジニーが乗ることになった。
本当はロンとジニーが1台目車に乗り、フレッドとジョージが2台目の車に乗る予定だったのだが今朝の騒ぎのせいで予定は変わったらしい。
タクシーの運転手さんが重たいトランクをゼェゼェ言いながら運んでいる間に私はアーサーおじさんに最後の挨拶をしに行った。
「どうも有難うございました。」
「言ったろ?遠慮は要らない。
これからもここを我が家だと思ってくれていいし、何か困ったことがあれば小さなことでも相談しなさい。
クリスマス休暇にでもまた遊びにおいで。」
そう言って私の肩に手をかけてくれたアーサーおじさん。