Smile once again!!

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満月の綺麗な夜だ。

ただ、歩いていただけだった。コンビニに行くところで、丁度、看板が見えてきたところだった。

なのに

ここは何処。見覚えの無い街中。とりあえず日本ではないことは明白。建物の造りが違うからだ。
ただでさえ知らない場所なのに、全ての店が閉じてしまってるし、急に月消えたから真っ暗だし結構怖い。
生憎、携帯は家に置いてきたから、姫瑚に連絡を・・・なんてことは無理。くそ。不用心過ぎたか。と、臍を噛む

何か使える物は無いか、ポケットの中を探る。そう、財布。お金があるから。外国で日本円は使わないわよ、何言ってんだ私。
日本円の他に見つかったのは、ぐしゃぐしゃのレシートと、ミニカッター。なんでそこに入ってたの、ミニカッター。いつ入れたのさ、ミニカッター。何に使えばいいの、ミニカッター。

アカン、もうダメだ。と肩を落としたその時。男の怒号が聞こえ、追いかけられる。その男達は各々武器を持っている。物騒ね。

「居たぞ!!月だ!!捕まえろ!!!絶対殺すなよ!!!」

”月だ!!”って何よ。出てないわよそんなもん。あんたの目の前には背の高い女の子しかいないわよ。あんた、目ん玉何処につけてんの。つか、小娘1人を殺さずに捕まえる為なら武器は不必要じゃないかしら。
心の中ではツッコミの嵐だが、口に出す余裕は無い。
何しろ、此方は状況を未だに把握出来ていないのだ。

必死に頭を働かせる。
なんで追い掛けられてるの?ここ何処?なんで私は知らない所にいるの?

もしかして、ここは私が居た所とは違う所?パラレルワールドってやつ?

いやいやいやいやいや。なわけ。



相当なスピードで随分と長く走ったし、道も知らないから男達を撒くのも、野宿するのも不可能。
ここは、男達に聞くしかない。幸い、殺すつもりはないらしい。え、言ってたわよね、“絶対殺すな”って。
仕方ない。一か八かだ。私、死んだらドンマイ。



先程、探り当てたミニカッターの刃を首にあて、振り返った。ここで役に立つとは。でかしたぞ、ミニカッター。褒めて遣わす、ミニカッター。

『動かないで!!殺したらダメなんじゃないの?』

案の定、男達は止まった。よし、大丈夫。

『持ってる武器を全部下に置いてから此方に来て。逃げないから』

全員が此方に来たのを確認してから話を続ける。

『さっき言ってた”月”ってのは何?何で私を追い掛けるの?』

ここはどこ?とも、聞きたかったのだがやめた。そんな事聞けない。恥ずか死ぬ。
ここが日本じゃないことは分かっているわ。それで充分よ。必死に自分を慰める。

暫く沈黙があり、漸く話し始めた。

「お前は、ボンゴレファミリーの月の守護者で......!?」

話している途中(と言っても凄く序盤)で、私の背後を見て顔を青くした。釣られて後ろを見ると、明らかに凶暴そうな奴らが大量に来ていた。
男達はさっさと逃げてしまった。

どうしよう。喧嘩は得意だけど、この場合どう考えても分が悪い。逃げるか?でも、こんな多人数相手じゃすぐ捕まる。

一瞬の思考だったが、その一瞬がいけなかった。気が付いた時には、既に取り囲まれていて、応戦するしか選択肢はない。ままよ。




ミニカッターでも、上手く使えば人を殺すことが出来るらしい。新発見だ。いらない新発見だった。
何人殺したのだろう。もう意識のある者はいなかった。
ぼんやりしてる暇なんてない。早く逃げよう。
走り出そうとした瞬間、こめかみに違和感を感じた。銃だ。
もう居ないと思ったのに。まだ残っていたのか。
詰みだ。そう思って目を瞑った。

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