novel

□House sitting
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「やだーっ!!何でニアがLと二人きりなんだよぉ!!」

朝早く、門の前に揃った子供達。

今日は年に二度ある遠足の日。その遠足を一番楽しみにしていた筈のメロだが、持ち帰った仕事が忙しく同行できないLと外出嫌いのニアが一緒に残ると思って憤慨していた。


ところがため息混じりに聞こえたニアの無感情な声は、メロの誤解をあっさりと一蹴した。

「残るのはマットです。私ではありません」

「え…そ、そうなの…?」

途端メロの表情は綻び、ニアは髪をいじりながらそんなメロを不快そうに見ている。


「そっか…マットならいいや。僕のLを取ったりしないだろうし…」

「僕の…?」

「え…いや、その」

ボカッ

「いっ…てぇ…何すんだよ〜…」

メロの「僕の」という言葉にすかさず反応したニアは、気に入りのブリキの玩具でメロの頭を叩いた。

いつもは何かと理由をつけて遠足をサボっていたニアだが、今回は無理矢理引っ張り出される形で参加せねばならず、いつにも増して不機嫌だったのだ。

「…本当に減らず口ですね」

メロは手加減無しの痛みに涙目でニアを睨んだが、それもニアの無感情な言葉に一蹴されてしまった。

「…ごめん。」

(あ〜あ…何でL一緒に来てくれないんだよぉ〜…)

これ以上ニアを怒らせるのも怖いのでとりあえず謝るメロだが、その心の中は相変わらずLのことでいっぱいだった。



「………」

当のLは自分が寝泊まりする部屋でフォークを口にくわえたまま、モニタを凝視していた。


(これは……案外早く解決しそうですね…)

Lは早くも決定的な何かを見つけたようだ。

「ワタリ、MEに繋いで下さい。」

Lは小型マイクでそう指示すると、椅子をくるりと一回転させた。

(これなら…メロたちについて行っても良かったかもしれませんね)


「お呼びですか、L」

「ME、予定より大分早くなりますが…8時42分、被疑者確保です」

「了解!」

そう思ったのは良かったものの、Lが部下にゴーサインを出した頃、子供達はワイミーズを出発していた。

メロだけはLに行ってきますを叫んだが、一番奥にあるLの部屋に届くはずもなかった。
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