novel
□Shelter
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「ごめん…俺もちゃんと協力、するから」
「メロの言うとおりにする。」
「ごめん…ね…、役立たずかも…しれないけど…」
「メロ…ごめんなさい」
…しまった、と思った。
謝らなきゃ、と思ったのに
マットが泣きながら先に謝ってくるから、どうしていいか分からなくなった。
悪いのは明らかに俺で
謝らなきゃならないのは俺の方なのに。
行為に及んだ時、苛ついていた俺はマットに手を上げてしまった。
マットが何をした訳じゃない。ただ俺が暴力的になってただけだ。
普段からそうだけど、マットに対してだけはそうならないよう、俺なりに気を付けていた。
なのに…
Lの仇であるキラはこっちの作戦にも飄々としているし、ニアにまたしても追い越されそうになった。
苛立ちを抑えようとアルコールを少し入れるつもりが、逆効果だった。
酒の次はセッ クスと、お決まりのパターンに逃げ込んでも俺の苛立ちは収まるどころか、マットに対する普段からの嗜虐心が度を超して、マットを傷付けただけの最低の結果を招いた。
「…っ、畜生…」
額に手を当ててうなだれた俺を、マットは自分のせいだと思っているのか悲しげに見上げてくる。
違う、お前のせいじゃない。
あぁ、早く
謝らないと
「メロ、大丈夫…」
ところがマットの思いがけない行動に、またしても俺は謝る言葉が引っ込んでしまった。
「先のことは分からないけど…今は大丈夫…だからさ、そんな怖がらないで」
おずおずと近付いてきたマットは、俺の頭を胸に抱き、優しく髪を撫でながら言った。
「マット…、」
「ごめん…無責任なこと言ってごめん。でも今は大丈夫だと思うから…今だけは、安心してよ」
微笑んだマットの頬には、涙の跡。
「それに…さ。メロの為なら、俺が死ぬから「ッ…ばかやろ…、」
「ごめん、例えだよ。」
自分が泣いてるなんて思いたくない。
愛しさに泣きそうになったことなんて、絶対に知られたくない。
マットの身体を強く抱き締め返して、その柔らかな胸に顔を隠した。
「安心…安心して」
バレたくねえのに…
マットの柔らかい声が、俺を泣かそうとする。