01/30の日記

23:46
えんぱらんて
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更新速度がうんこなので、去年だったか一昨年だったかの、エイプリルフール企画で載せたやつのせます



 


先日捕らえた叛逆者、赤色十字の騎士ゲオルギオスのいくつかの不審な点について記す

・ゲオルギオスの来歴、出身地など
我が国の名も無いような山間の村とされているが、親兄弟の存在は無い。北か、あるいは海を渡ってきたと思われる
また、目立つ来歴は一切無く、ここ数十年の活躍ーー否陰謀ともいえるーーは何の前触れもなかったため、反対運動派の流した法螺と思い込まされていた。

・姿について
精悍な男で、年の頃は三十代といったところか。我々が奴を目撃したのは十年前からであるが、その容姿は変化が見られない。
茶髪に染めているようだが、自毛は深い青色であった。二重に染めているのだろうが、不可解な点が多い。

・思想について
全くもって大変危険である。
公明正大とされるが、無理矢理人々に持論と宗教を押しつけ、洗脳する。
奴に魅入られた者はとにかくゲオルギオスを信奉し、否定する事はない。
これらを鑑みて、あの教えの家では、催眠誘導などが行われていたと見るべきである。

・魔女説について
石を用いた不可思議な呪いを使うという噂はいくつもあり、それは我々も目撃した。
角の生えた馬、蛇の尾を持つ獅子、三首の猛犬など、とにかく化物としか形容するしかないものを使役する。
よって魔女というのは確実であろうが、砂漠にいる白髪の魔女や、連れ合っていたキエンガ人の魔女を殺した理由は不明。

・反逆罪について
これまで奴はいくつかの小競り合いを止め、村や街を統合してきた。それらを兵として鍛え、国への改革と称していくつかの反対運動を掲げている。
これだけでも危険視すべきだが、最たる問題は、北の追放者どもに銀脈を教えたという情報だ。これは内通者からの情報であるため間違いない。
北とデルオラ以南から挟み込むつもりであろうか。北の追放者どもは、なにか集まりをつくり我が国に攻め込もうとしていた。烏合の衆など、国軍槍兵隊にかかればさほども無いが、ゲオルギオスが噛んでいるとなれば話は別だ。
王は早急に、ゲオルギオスの処刑を望んでいる。これに反対する者はいない。

・全く異なる化物説
眉唾ものの説であるが、記しておく。
奴自身が象徴としている赤色十字という表象は、共通あるいは系統となるものは他の民族には無い。
また、薔薇を象徴とすることもあるが、それは持ち物ではなく食い物としているようだ。
次に、圧倒的な剣技と呪いを持つが、検証の結果ゲオルギオスは人の歌声に弱いという事が解った。歌声を聞くと頭を抱え、行動が停止する。叫び声やかけ声では効果は無い。この弱点発見のおかげで、我々は奴を捕えることができた。

特筆すべきは、奴の血である。青黒いのだ。
また、喉に石のような、いや鱗のようなものが生えておりこれに触れようとするとひどく暴れる。
内通者はゲオルギオスを、人語を解すだけの未知の化物であり、人間の敵であり、早急に殺すべきと唱えた。
我々もそう強く思う。いくつか拷問し吐かせることはあるが、首は確実にはねるべきだ。

以上をゲオルギオスについての簡単な報告書とする。後日、奴の仲間を捕らえた後、仔細な報告をおこなう。

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本日午後、反逆者ゲオルギオスの拷問および処刑が行われた。
今日は奴の教義を改めさせるだけの拷問の予定であったが、恐ろしいことに責め苦を受けながらも教義を述べ、立ち会っていた王妃を改宗させ弟子においた。
当然ながら王はお怒りになり、残念ではあるが王妃ともども、ゲオルギオスならびに弟子メトセラの処刑が行われた。

水攻め、針攻め、火攻め、と普通の人間であれば死ぬような拷問を行ったが、やはり魔女か、奴は死ななかった。
縛りつけ、目を隠す。民衆に見えるよう、立たせて行った。
まず心臓を槍で突いたが、死なない。許しをこえばよいものを、奴は「それでも私は貴方達を愛そう」と言った。それが最後の言葉だった。
処刑人が喉を突いた瞬間、人と思えぬような凄まじい叫び声が上がった。
金属をすり合わせるような、不快なもので、近くで聞いた執行人達の耳は出血したという。

その後は私も見たが、青黒い血が一挙に溢れ出し、処刑場に広がった。染み込んだ血はいくら洗っても落ちないと聞く。
やはり化物だと確信した王は、丹念に首を切断するよう命じられた。今にも蘇るのではと懸念したのだ。
ゲオルギオスの処刑は完了した。首は城門前広場にて晒され、死体は明日にでも埋められよう。

以上をゲオルギオス処刑に関する報告書とする。
まだ奴の仲間は捕らえきれていないが、内通者の情報さえあれば時間の問題だ。

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