BL小説集

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 意識が霞んだまま、フリードリヒは目覚めた。

 大欠伸をかまし、寝返りをうとうとするが、点滴に気づく。

 なんとか起き上がり、目を擦りながら、のろのろと天蓋布を開いた。

「まあ、おはようございます、フリードリヒ様」

「おふぁああ……よう」

「医師をお呼びしますね」

 こくりと頷くと、侍女は一礼して去った。

 待つ間に、喉を潤そうと、寝台の近くに置いてある杯に手を伸ばす。

 が、うまく力が入らず、杯を落としてしまう。

「あらあら、大丈夫ですか?」

 入れ替わるように、エリッサが現れ、杯を片付けた。

「うー……ごめ、なさ」

「フリードリヒ様、どこか具合でも悪いのですか?」

 王妃はゆるゆると首を横に振るが、エリッサは安心しない。

 何せ、フリードリヒは二日も眠り続けて起きなかったのだ。

 それを伝えると、やけに薄い反応が返ってきた。

「……へぇ」

「やはり、本当にどこか悪いのでありませんの?痛い所は?」

「ん、とぉ……ねむ、い」

 埒が明かない。エリッサは、フリードリヒが眠らないよう、医師が来るまで話し相手になることにした。
 
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