BL小説集
□二
2ページ/38ページ
「っな、隆之さんは友人です!それを、そんな風に見るなどと!」
『それが駄目だと言うんだッ!』
思わず大声で返せば、それ以上の声高がきた。
めったに聞かないそれに、左京が体をすくませる間にも、激励か罵声か判断しかねる言葉が続く。
『きみは、きみの自己満足だけで側にいるだけじゃあないか。いい加減にしたまへよ』
「……おっしゃる通りです」
左京が湯目乃にこれほどまでに怒られたことなど終ぞなく、しかも心中にぐさりぐさりとくるものだから、左京はすっかり消沈してしまった。
だがこれでよかったのだ、と左京は思った。
友人相手では、つい自分が正しいと思い込んでしまう。
分析し、指摘してくれる湯目乃の存在をありがたく思い、礼を言おうとすると、ぼそりと独り言が聞き取れた。
『ま、本意がそーしたがってるんだろーけど』
「先生?今、何か……」
『あきゃきゃきゃっ、んじゃあまた会おうねえへぇ』
一方的に切られてしまい、結局は聞けず仕舞い。
左京は首を傾げつつも、湯目乃の言う通り、何か手がかりになるものを探すことにした。