BL小説集

□二
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 結局添い寝をするはめになった左京は、朝餉を隆之に食べさせ、急ぎ湯目乃に電話で相談することにした。


『とゆーかあ、こっちひぃ来たほおぉがは、はやひいんじゃああ?』

「あまり、友人を置いてはおけませんので。すみません」

『あそ。まはーいひぃやはあ。手がかりぃい、さっあぱりいなのかぁ〜』

 実のところ、左京は手紙を蔑ろにされた衝撃から立ち直れずにいた。

 混乱した頭を冷やすためにも、湯目乃の話を聞こうと、伺いを立てた次第だ。


『めへぇずらしいね〜。誰かのほぇ、協力でへぇ、目的を達成されるのを嫌うぅきみがぁはあ、こぉんなに頼ってくぅるなんてげへ』

「……く、情けない限りとは、自覚してますよ」

 少ないとはいえ、自尊心を潰して電話をしている事を指摘され、左京は密かに拳を握りしめる。

『ふむうむ。ねえ郁阪くぅん、きみ、やる気あるのかい?』

 湯目乃の声が一気に緊張を纏い、左京も思わず姿勢を正す。

「は……当然です。幼い時分からの友人ですから――」

『甘い。きみとその友人の間には、何年も隔たりがある。きみは何をした?親族近隣から根掘り葉掘り話を聞いたか?家中から証拠を探し回ったか?友人の今までの足跡を歩いたか?』

「……いまだ、何ひとつ」

『駄目だ。駄目すぎる。医学の知識を持たないきみができる事と言ったら、それぐらいしかないのに、それさえもしないのか。いまだ相手を研究対象として見ていないなあ』
 
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