BL小説集
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部屋に戻ったフリードリヒは、いつにない献上品の多さに目を見張った。
「すごぉい」
「懐妊祝いですわ。まだ国内の貴族からですが、これからさらに多くなりますのよ」
侍女たちは、梱包を次々に開け、中を仕分けしていく。
花束や衣服、宝石や装飾品の数々は、どれもため息が出る美しさ。
「……お返しとか、いいのかな」
「諸侯が国の主に贈り物をするのは、当然の行為ですわ。平然と受け取るべきです。もし不要ならば、そこいらの使用人にあげてしまいなさいな」
豊かな国ならではの考えに、フリードリヒは驚いた。
金の婚約腕輪でさえ、彼には大層な装飾品だ。
「お楽しみのところ、申し訳ございませんが、少し診察させていただいてよろしいでしょうか?」
少し困った顔で、医師がフリードリヒを呼ぶ。かの医者も、物珍しげに、献上品に目線を送る。
「侍女の皆様だけで戻られたので、驚きました。どこかお怪我はありませんか?」
「んと……大丈夫で、す」
今日は頭を締め付けられたぐらいだ。
だが医師や侍女たちは、フリードリヒが王のために嘘を吐いているのではないか、と疑った。
「……そうですか。では体温を測りましょうか」
とはいえ、追及するのは如何なものか。
単純な王妃ならば、すぐにボロが出る。それを探るのも、周囲の者たちの仕事だ。