BL小説集

□嘔吐するほど過剰に愛玩し駄目にして
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 特に変化のない毎日。誰が見ても平凡に人生を過ごしてきた彼が、その日を境に、生涯をかけて後悔することになろうとは。


「言うの忘れてた。俺、明日から苗字変わるわ」

「いきなり重いな」

 眩しい夕日が差し込む教室で、笹川(ささがわ)有二(ゆうじ)はふと思い出し、友人に言った。

「ちげーよ。うちは母子家庭だから、再婚だ」

「あ、なーる。で、なんになるのよ」

「いやそれがさ、後の楽しみって教えてくれねーのよ。だから次の苗字もわかんね」

「なんじゃそりゃ」


 軽く笑い合い、特に用事もない彼らは学校玄関前で別れる。

「じゃ、またな」

 ヘッドフォンをかけ、自転車に跨がる危険窮まりない友人に手を振り、のんびり歩く。

 今日は夜に、母の再婚相手及び連れ子と対面するという。

 相手の連れ子は三歳上の男だとか。
 長男だというのに、母が漢字を間違えて有二とされてしまった事実を思うと、面白い偶然もあるものだ。


 特に楽しみと思うこともなく、電車に乗り、待ち合わせのレストランに制服のまま向かう。

 今夜から相手方の持ち家に住むらしい。引っ越しも終えたし、書類も整えた。
 
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