BL小説2

□>>Rex_Tremendea}
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 状況は最悪だった。

 王と王女が倒れ、主力の兵のほとんどが動けなくなった。何よりも兵の持つべき装備が全く足りない。
 製造はアルヴァ支配下のサイーラという工業国に任せているが、原料である鉄、その鉱山は教会が土地ごと所有している。

 面倒なことに、教会宗主は戦争を厭うがゆえに、武器のための鉄は法外な値段で取引させていた。

 一方の敵国リウォインも、同じく苦しい立場だ。女王自身に被害はなかったが、退却はアルヴァ側よりも遅れ、兵の犠牲は多い。
 また、損害を出したヨシリピテへの言い訳も用意せねばならない。

 どちらも痛み分け。アルヴァは慌てて剛崎以下、他部族の兵を呼び集めて国の防備を固めた。
 両国の受けた痛手はあまりに大きい。いましばらくは相手の様子を窺いながら自軍を整えるしかない。

 つまるところ、戦は中途半端に休止となった。
 それだけのことをした者は、砂漠から忽然と姿を消してしまった。

 極一部の者以外は、敵国の焼き討ちと思っているだろうが、鉄をも燃やす炎はそう簡単に起こせるものではない。

 倒れた王に代わり、最高指導者となった王子ルートヴィヒは、激務の傍らで魔王の行方を探していた。



 王妃が夫に託した預言を見て、ルートヴィヒは思案した。

 結局のところ、全ては定まっていた。魔王は降臨し戦を焼き払い、黒獅子王は剣で歌を止めた。
 虫の息であった父王を見た時には、流石のルートヴィヒも血の気が引いた。

 懸命な治療が続けられてはいるが、即死していない方がおかしい。
 エバはまだ動けないが、一命は取り留めたと報告があった。

『旦那様、どうか休息を。お体に障ります』

 戴勝がルートヴィヒの肩に止まり、声をかける。それを追い払い、王妃が自身に託した預言の意味を考えた。
 
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