BL小説2

□>>Rex_Tremendea}
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ダニエルは言った、「神のみ名は永遠より永遠に至るまでほむべきかな、知恵と権能とは神のものである。
神は時と季節とを変じ、
王を廃し、王を立て、
知者に知恵を与え、
賢者に知識を授けられる。
神は深妙、秘密の事をあらわし、
暗黒にあるものを知り、
光をご自身のうちに宿す。
わが先祖たちの神よ、
あなたはわたしに知恵と力とを賜い、
今われわれがあなたに請い求めたところのものをわたしに示し、
王の求めたことをわれわれに示されたので、
わたしはあなたに感謝し、あなたを讃美します」。
――ダニエル書2章20節〜23節





 砂漠には何も残っておらず、まさに荒野と呼ぶに相応しい。

 槍の柄、焦げた旗。捨てられた鎧や鞍などが、起こった惨状を物語る。

 あれだけあった死体は余さず火に葬られた。骨も灰も残さずに、風に流れていった。

 静寂の砂漠に、一頭の異形の馬が止まった。
 青褪めた馬に乗った男は、成金のような量の指輪や首飾りをつけている。男は焦げついた弓を拾い、満足げに笑う。

「なかなかこれが。やってくれたものだ、なあ」

 後ろを向き、布に包まれ縄で馬に固定した子供を見る。子供はどこも見ておらず、力なく口の端から涎を垂らすばかり。

「哀しみの行末に、ついぞ御陵威(みいつ)の王は降誕せり」

 興味はなくなったと、男は青馬を動かす。

「なれば吾らはただ祈り、赦しを乞うばかりである。魔王よ、汝いかにこの世界を討ち滅ぼすか」
 
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