BL小説2

□Feuer bestattung
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 馬を預けた青年は、連れと話す。

「長に挨拶をしていく。ダニエル、お前は」

「アタシは先に休んでまさァ。もう一歩も歩けませんぜェ」

 青年は自分の荷物をダニエルに押し付け、立派な箱馬車に入っていった。

「人使いの荒いやっちゃあなァ」

 客人用の箱馬車に案内され、ダニエルは大荷物を苦労して入れる。
 馬車の内部は、駱駝の革の屋根により、幾分か涼しい。
 中では女達が、歓迎の歌を奏でいた。

 ベリオールは詩歌を神に奉じる。歌は彼らの生業であり、人生なのだ。

 ダニエルはろくに聴かず、出された茶と、平パンをちぎって食べる。

 そうとう腹が減っていたものか、かっこみ、一息ついてようやく、ダニエルは粗末な外套を取り払う。

 延び放題の赤い髪は、灰に汚れ斑になり、白茶けた肌は、かさぶたや傷だらけ。
 なんというか、全体的に汚い。

 ぼろのような服に、女たちは憐れみの視線を向ける。
 そのうちの一人、溌剌そうな壮年の女が、ダニエルに問うた。

「あんた、リウォイン人かい」

「ああそうさァ。こっちの日射しは、アタシにゃきついねェ」

「リウォイン人は信用できん」

「ちょっと、アイゼヤ……」

 無礼な女を、同胞が諌める。
 しかしダニエルは歯牙にもかけず、むしろ同調した。

「確かに、リウォイン人は嘘吐きが多いからねェ。皮肉と冗談が好きとも言うが」

「私はリウォイン人など、信じられない」

 そう言い捨て、アイゼヤという女は出ていった。
 
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