短編

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「もお〜ひどいよ。マルガリータちゃんが可哀想〜」

「はいっ、はいっ、申し訳っ、ありませっ……ぐううっ」

 少年のお気に入りの陶器人形を壊してしまったとして、男は仕置を受けていた。
 全裸に剝かれ首輪をされ――男は少年の護衛として長年仕えてきたが、今や主人の持ち物を壊した愚か者だ。

「ママがちゃんと躾しないからって言うから、こんな事しなきゃだけど、ふええ気持ち悪いよ〜」

 主人である少年は、靴下を履いた足で男の股間を恐る恐る蹴る。母親に言われて仕方なくやっているだけで、力など入れていないが、男の股間は辱めを受けていきり立っている。

「嘘でしょ〜……なんで顔赤くしてるの〜」

 男の鍛え上げられた全身は、とても逞しく頼りがいあるものだが、幼い子どもになじられ、歓ぶ様は普段の厳格な姿と大違い。
 後ろに控えるメイドたちが男を見て、ひそひそくすくすと笑い合う。その屈辱に、男はますます息を荒くする。

「はぁ、足を上げてるのも疲れちゃった」

 少年は体液まみれの靴下を脱ぎ、丸めて男の口に捩じ込む。男を床に這わせ、その背に座る。

「なんとなくわかってきたかも、あなたこういうのが好きなんだね。僕がちっちゃい時にしてたお馬さんごっこも、楽しかったの〜?」

 唸りながらも、男は否定しようと首を横に振る。少年はメイドから鞭を受け取り、ちゃんとした馬として男の尻を打った。

「ママが買ってくれた白馬のモーリアは、鞭なんかなくても歩いてくれるよ。あなたは首輪もないとだめなんて、僕がきちんと躾なかったからだね……ごめんね」

 男は四足で床を歩む。乗り心地が悪いと、主人の鞭が尻や大腿を打ち、下半身はほんのりと赤い。たかが華奢な子どもの振るう鞭は、大した強さではない。じくじくとした痛みに、しかし男は涎を垂らす。

「いつもお風呂入るときも、こんな事考えてたの〜?ママの言うとおり、変なことされる前に、きちんとしてあげなきゃね」

 少年は男から降り、メイドに靴下と革靴を履かせてもらう。
 そして男の股間を背後から蹴り上げる。苦悶の叫びを上げる様を見て、あんまり楽しくないなと、主人はため息を吐いた。
 
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