短編
□SS
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学園パロそのに(ファンタジー全部)
とある私立高校の方針は文武両道。そして個性の尊重。
そのためか、教師らも変人揃いであった。
「おはようございます。わたしの可愛い生徒たち。今日も良き日であるよう努めましょう」
ルートヴィヒの属するクラスの担任にして、歴史の教師であるケツァルコアトルは、にこにこと挨拶をした。
優しく朗らかなこの教師は、特に人気が高い。
「わたしの話をよく聞いて、勉強しましょうね。聞かない子は、きちんと聞けるようになるまで、先生頑張りますね」
妙な迫力のある笑顔で言われては、生徒らも黙るしかない。
「おうおうわたしの可愛い生徒ども。今日も血の気が良く何よりだ。ではグラウンドで走り込みからのマヤ式サッカーぞ」
体育教師のテスカトリポカはとても厳しい。だがどんな生徒も最後までよく指導し、苦手の克服を促してくれる。
「クラス同士のトーナメント方式だ。
優勝したクラスには!わたしの生贄になる権利を与えるッ!」
ただそれらの努力も、良質な人間の肉が欲しいからこその仕込みだ。
生贄うんぬんは、ケツァルコアトルの妨害により叶ったことは無い。
「テスカトリポカ先生は、あの肉好きさえなければ、よい教育者なのだが」
「あ、あのお旦那様……わたくしは」
相変わらず生徒会室で、会長のフットスツールになっているアザゼルだが、彼も元は教師だった。
「わたくしの保健体育(実技)はそれはもう、手とり足とり腰とり、ずっぽりお教えしますのに……」
「エバ、縄持ってきて」
「ねえ兄様、あそこ、校舎の三階に人が逆さに吊られてますよー?」
「うわホントだ。やばくねーこの学校」
「ああ、あれは問題起こしかけて、生徒会雑用まで下げられたアザゼル先生だよ」
某国公立高等学院は、長期休暇に入っている。普段は寮で規律のある生活をしているが、休暇中は自由に出かけられる。
今日は両校の生徒会の意見交換会だ。
「そうか、こっちはまだ授業があるのか」
「じゃーこっからは自由行動かにゃー」
「不祥事は起こすなよ、ローレンツ」
「ん大丈夫、大丈夫。証拠隠滅は得意なのー」
怒られる前に、ローレンツはふらりと何処かへ行ってしまった。
「フリッツ、ああなっては……」
フリードリヒも兄らを無視して、校舎に入っている。
アレックスは頭を抱え、深いため息をついた。