短編
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お姫様は眠りから目覚めてあくびひとつ、最近は起き抜けに王様がいないので、ゆっくり着替えができます。
寝台の下の夜尿用の盥がありません。もう侍従が持っていってしまったのでしょうか。
ちょっと不便に思っていると、王様が寝室に戻ってきました。その手には盥が。
「おはようございます、我が美しい君。今日も健やかなようで何よりです」
王様はなんてことないように、盥を寝台の下に戻します。
いくらなんでも王が他人の下の世話をするとは、信じがたいことです。お姫様は寝台の下を二、三回ほど見直しました。嫌な予感がしたからです。
次の朝、ちょっぴり早起きしたお姫様は、盥を前にして考えました。
そしてつと、廊下を通りがかった番犬を連れた兵を呼びました。
いつも通りにゆっくり着替えていますと、どたどたと騒がしい足音。
殴り込まれたかのように扉が開き、青ざめた王様が何事か喚いています。お姫様はかように慌てた王様を初めて見ました。
「ひっ、姫!今朝の尿がなんか、変な味がっ、獣臭いといいますかっ……またどこか体が悪いのではぁーっ!?」
「やはり飲んでいたかあぁー!」