短編
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結婚して二ヶ月目にして、僕は義父に襲われた。
一体何があったのか解らなかった。両親のいない僕を、きいちゃんとお義父さんは快く迎え入れてくれた。
きいちゃんは正確には亡くなったお義母さんの娘で、再婚したお義父さんとは血の繋がりがないそうだ。だからだろう。そう思っていた。
「僕が気に入らないんですか?」
怖くて吐いてしまった。お義父さんは複雑な表情ですまない、と言って掃除をしている。
確かに僕は働いていない。両親の遺産を種銭(たねせん)に、デイトレードで稼いでいるからだ。
傍目にはどうかと思われるだろうけど、きいちゃんが専業主婦をして、三人は子どもを作れるだけのお金はある。
お義父さんは何も言わず帰ってしまった。僕は黙ってシャワーを浴びるしかなかった。
違和感に気づいたのはその次の日。
僕はいつものようにきいちゃんを抱いた。ちゃんと抱けることに安堵した。
すると彼女は言った。
「ねえ、今からあなたのこと、パパって呼んでいいかしら」
「ええ?早くない?」
「今から慣れておきたいの。あなたも私のこと、きいちゃんじゃなくって、キミって名前で呼んで」
何かあったのかな。マリッジブルーが今さら来たとか。
断る理由もなかった僕は、彼女を名前で呼んだ。とても喜んでいたから、僕も嬉しかった。
その次の週。きいちゃんが出かけている間にお義父さんが来た。合鍵を持っているみたい。
やはりというか、襲われた。よりによって夫婦の寝室で。
「あっ、あっやめ、やめてください、お義父さん!やだっ、やめて、助けてっ」
「すまない、すまない……」
お義父さんは無理強いしているくせに、優しく優しく僕を抱く。決してレスというわけではないのに、僕はのめり込みそうで怖かった。
「なあ、俺をお義父さんではなく、パパと呼んでくれないか」
僕の頭は一気に醒めた。パパって、それはきいちゃんがお義父さんを呼ぶときの、待ってきいちゃんは僕を何て呼ぶ?お義父さんはきいちゃんを名前で呼んで――
あれ、この二人ってもしかして