短編

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「まっちゃんさん、キスしていい?」

「いいけど」

 無愛想で無骨な俺の恋人さんは、傍目よりちょー優しい。
 お願いするとだいたい叶えてくれるいい人なのです。

「あ、そーだ。今日はまっちゃんさんからしてほしいな」

 俺からばっかりで、恋人さんからはまだだ。

「いいが……その、俺……したことないん
だ」

「……ナニを?」

「俺はお前が初めてなんだ。だから、俺からキスとか、したことがない」

「マジでっ?!」

 こーんなにクール系イケメンなのに俺が初恋人!?いやだからこそ?
 やべーまっちゃんさんのハジメテです。ありがとうございます。

「大丈夫、目ぇ閉じてるから」

「わかった」

 と言いつつ薄目は開けますけど〜。
 恥ずかしいのか、目を閉じた恋人さんが俺に近づく。
 あともうちょっと、というところで、まっちゃんさんが床に着いた手を滑らせ、俺の口元に頭突き。

「ぐっふぅ!」

 モロに食らった俺は、床に倒れた。恋人さんからのキスは、鉄の味だった。



 頭突きによって八重歯が唇の裏を裂いちゃった。しばらく辛いものとか食えねえな。デ●トヘルスおーいしー。

「……すまん」

「いいっていいって。俺が歯列矯正してないのが悪いんだし」

 変わらないように見えて、かなり凹んでいる。あらーこんなの久々だ。
 俺はまっちゃんさんに抱きつき、気にすんなよーってなぐさめた。

 したら、ほっぺにちゅーしてくれた。

「今はこれで許せよ」

「許す許す!ちょー許すー!」

 やっばいマジでずっきゅんときた。
 
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