短編
□2
18ページ/43ページ
「まっちゃんさん、キスしていい?」
「いいけど」
無愛想で無骨な俺の恋人さんは、傍目よりちょー優しい。
お願いするとだいたい叶えてくれるいい人なのです。
「あ、そーだ。今日はまっちゃんさんからしてほしいな」
俺からばっかりで、恋人さんからはまだだ。
「いいが……その、俺……したことないん
だ」
「……ナニを?」
「俺はお前が初めてなんだ。だから、俺からキスとか、したことがない」
「マジでっ?!」
こーんなにクール系イケメンなのに俺が初恋人!?いやだからこそ?
やべーまっちゃんさんのハジメテです。ありがとうございます。
「大丈夫、目ぇ閉じてるから」
「わかった」
と言いつつ薄目は開けますけど〜。
恥ずかしいのか、目を閉じた恋人さんが俺に近づく。
あともうちょっと、というところで、まっちゃんさんが床に着いた手を滑らせ、俺の口元に頭突き。
「ぐっふぅ!」
モロに食らった俺は、床に倒れた。恋人さんからのキスは、鉄の味だった。
頭突きによって八重歯が唇の裏を裂いちゃった。しばらく辛いものとか食えねえな。デ●トヘルスおーいしー。
「……すまん」
「いいっていいって。俺が歯列矯正してないのが悪いんだし」
変わらないように見えて、かなり凹んでいる。あらーこんなの久々だ。
俺はまっちゃんさんに抱きつき、気にすんなよーってなぐさめた。
したら、ほっぺにちゅーしてくれた。
「今はこれで許せよ」
「許す許す!ちょー許すー!」
やっばいマジでずっきゅんときた。