BL小説集
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しかしエンディミオは深くは追求しなかった。兄らに咎めがないことに安堵したフリードリヒだが、首謀者である妃自身には罰が下りる。
「和平を結んでいるとはいえ、私個人は魔女とは敵だ。故に、そなたを反逆者として疑わざるを得ない」
「……はい」
覚悟はしていた。どんな罰も甘んじて受けようと、フリードリヒは頭(こうべ)を垂れた。
「これより、そなたに二ヶ月の謹慎を言い渡す」
「……は、い?」
謹慎で済んだ事に、フリードリヒは驚き、頭を上げた。王に何故と問う。
「そなたに大層な事ができるとは思えぬ。さらに神憑きを重く罰しては、民衆と教会の反発を招く。
ついでに、身重の者に余計な負担はかけてはならないと、酌量の余地があった」
「はえー……」
「以上だ。何か申し立ては」
「いえ。……陛下、あの、感謝、いたし、ます」
北方出身の上、身内にリウォイン軍人がいては、フリードリヒはいくらでも疑われる。
それをたった二ヶ月の謹慎に押さえた、王の苦労は相当なものだったろう。
「……そう思うのならば、以後迂闊な行動はするな」
「はい……はい」
王の気遣いに、フリードリヒはしっかりと頷いた。
エンディミオはめずらしく微笑み、フリードリヒの頭を撫ぜてから去った。
了. 5に続く
→あとがき