BL小説集
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「そんな理屈、でいいの?」
「森自体が超自然的で屁理屈な存在です。わたしはそれを正すだけ」
納得のいかないフリードリヒを、翡翠は諭す。
「んー……あのぉ」
「はい」
「ちょうしぜんてき、て、なんですか?」
「……それは追い追い」
翡翠はため息ひとつ。しかしすぐに立ち直る。
フリードリヒの抜けた性質は、今に始まったことではない。
「今すぐに、とは言いません。ですが、これだけは覚えておいてください」
「……う、はい?」
「どのような選択肢でも、最後に決めるのは貴方です。そしてその決定に、世界はついていきます」
自分で考える、ということをしてこなかったフリードリヒには、無理難題に思えた。
このままのんびり暮らしていけたらと思っていたのに、やはり神憑きとはそんなものか。
「わたしの愛しい子。どうか恐れないで。世界はあなたたちの望むとうりに」
言うだけ言って、ケツァルコアトルは消えてしまった。
フリードリヒは押し潰されそうな不安を、深呼吸で払拭。
さらに敷布を深く被り、夢に逃げ込んだ。