☆彡秋のエゴイスト2

□想い想われすれ違い?
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「ヒロさん、お誕生日おめでとうございます!!」

「ありがとう。もう誕生日を祝う歳でもないと思うけど、お前に祝って貰えるのは素直に嬉しい。」

ワイングラスを傾けて軽く乾杯をした。

「いただきます。このケーキ手作りか?」

「はいっ!今日は半日ヒロさんのことばかり考えながら心を込めて作りました!料理もケーキも愛情たっぷりですよ♪」

「お前、そんな恥ずかしいセリフよく平然と言えるよな。」

ヒロさんは苦笑しながらケーキを一口大に切って口に運んだ。

「甘っ…」

「すみません、砂糖多かったですか?」

「いや、多いのは多分砂糖じゃなくて…///」

「愛情ですね♪痛っ!!」

脛を思い切り蹴られてしまった。

だけど、気持ちが伝わって嬉しい。照れ屋のヒロさんも可愛いです///

今度は蹴られないように足を避けるようにして、ヒロさんの口元にケーキを差し出した。

「あ〜んしてください。」

「バカ!余計に甘くなるだろうが。」

「ヒロさん、甘いの好きでしょ。」

「クッ…しょうがねーな…俺だけ恥ずかしいのは嫌だからお前も食え!」

お互いにケーキを差し出して…同時にパクリと食べた。

「甘くて美味しいです。」

「こんなことするの今夜だけだからなっ///」

なんだか俺の方がプレゼントを貰っているような気分だ。

「野分…こんなに準備してくれてたのに遅くなって悪かった。」

ヒロさん、まだ気にしてる?

「どうしたんですか?」

「実は帰りが遅くなったのは残業してたからじゃなくて…だな…」

「宇佐見さんの家に寄っていたとかですか?」

宇佐見さんもヒロさんに本のプレゼントを用意していたのかもしれない。

「ちょっと妬けちゃいますけど、そんなことで拗ねたりしませんから安心してください。」

「いや…秋彦は関係ない。ちょっと…病院に行ってて…」

病院!!

「どこか悪いんですか!?」

怪我はしてないみたいだけど、帰宅した時肩で息をしていたし、寒かったって言ってたし…あーーーっ!医者のクセに見逃してしまった自分が情けない。

「あーーーーっ…」

「野分?変な声出てるぞ。」

「すみません。ヒロさんが具合悪いのに浮かれていて気付かなかった自分が不甲斐なさ過ぎて…」

「どこも悪くねーし!体調悪かったら病院行く前にお前に言ってるだろ。俺、病院受診するの苦手だし///」

そうだった。ヒロさんはギリギリになるまで市販薬で凌ぐタイプだ。

「俺が病院に行ったのは…」

「あ、インフルエンザの予防接種ですね!」

ヒロさんは注射は苦手だけど、大学で流行りやすいからと、毎年この時期に嫌々ながらも予防接種を受けているはずだ。

「予約していても長時間待たされることもありますから、ヒロさんの所為じゃないですよ。」

「人の話を聞け!予防接種でもねーよ!」

じゃあ…まさか…

「おめでたですか?って、あわわっ…テーブルひっくり返しちゃダメです!」

ヒロさんがひっくり返しかけたテーブルを慌てて押さえつける。

「俺はお前に会いに病院に行ったんだよ!!」

「へっ…?」

「だってお前、毎年俺の誕生日楽しみにして準備してくれてるのに、仕事が入って思うようにいかないことの方が多いだろ。誕生日なのにメールも電話もなかったし、また帰れなくてしょぼくれてるんじゃないかって心配で…」

ヒロさん…

「それで病院まで行ってくれたんですか?」

「うん///ロビーで読書しながら待ってたらいつの間にか1時間くらい経ってて、たまたま津森さんが通りかかって、お前が昼に帰宅したって聞いて…爆笑された。」

アハハ…そんなことがあったんだ。

「勝手に勘違いして遅くなって、すまなかった。」

「どうして謝るんですか?ヒロさんは何も悪くないです。俺のことを考えてくれて、俺と少しでも長く一緒にいたいと思ってくれたから病院に行ったのに…そんなの俺が嬉しくないわけないじゃないですか。」

「野分…」

「すれ違いとヒロさんの勘違いには慣れっこです♪」

ニッコリと微笑むと、ヒロさんも釣られたようにクスッと笑ってくれた。

俺と同じくらいヒロさんも…俺のことを想っていてくれたんですね。
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