☆彡秋のエゴイスト2

□キスは禁止!
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今日は昼からの勤務で、急患も少なく日付が変わる前に帰宅することができた。

「ただいまです。」

廊下もリビングも真っ暗。ヒロさんはもう眠ってしまったようだ。

寝顔を見ようとヒロさんの部屋の扉を開けると、ベッドはもぬけの殻で使った形跡もない。

「ヒロさん・・・」

残業?学会の準備は終わったって言ってたけど、まだ忙しいのかなぁ。

遅いし、迎えに行った方がいいかな?でも、行き違いになったら嫌だし・・・どうしたものかと迷っていると

「たらいま〜」

帰ってきた!

「ヒロさん!お帰りなさい・・・って、飲んできたんですか?」

学生さん達にランチを奢るって聞いていたけど、飲み会に変更になったのだろうか。

「宮城教授に付き合わされてさー・・・あれ?なんで野分がいるんだ?病院クビになったのか?」

「違いますよ〜普通に帰ってきただけです。」

「やった〜♪今夜も野分と寝られる♪」

「えっ・・・ヒロ・・・さん?」

ギュッと抱きつかれて戸惑っている俺に、ヒロさんは満面の笑顔を向けてくれた。か・・・可愛すぎます〜///

酔っぱらっている時のヒロさんは可愛さ百倍です!!

「靴脱いでください。今、お水用意しますね。」

「うん・・・野分・・・」

「なんですか?」

ヒロさんは上がり框にぺたんと座って俺の足を掴んでいる。

「脱がせて。」

「へっ・・・あ///はいっ!」

では遠慮なく♪

スーツを脱がせてネクタイを解こうとしたら

「違う。靴・・・」

調子に乗ってまたバカなマネをしてしまった。靴を脱がせて、立ち上がるのを手伝う。

ヒロさんのお世話をするのはすごく楽しい♪

リビングに入るとヒロさんをソファーに座らせて、水を持って戻ってきた。

「飲んでください。」

「ん・・・」

わずかに開いた口を軽く上に向けて・・・まさかのキス待ち!?口移しで飲ませろってことですか!?

水を口に含んでヒロさんに口にゆっくりと注ぎ込む。喉がコクンと鳴ったのを確認して唇を離した。

「今夜のヒロさんは甘えん坊ですね。」

「甘えてねーし。お前のことこき使ってるだけだし。」

プッ・・・ヒロさんの言い分に思わず噴出しそうになってしまった。

ヒロさんはネクタイを解いて襟元を緩めている。酒でほんのりと赤くなった肌が色っぽくて、潤んだ目がたまらない。

理性が崩壊しそうなので、あまり凝視しないように気をつけながら隣に座った。

「あれ?その湿布どうしたんですか?」

絆創膏を貼っていたはずのところに湿布が貼られている。

「宮城教授に貼ってもらった。学生達にからかわれるって愚痴ってたら『寝違えたことにすれば?』って貼ってくれたんだ。」

宮城教授、ナイスです!

「そうだったんですね。」

「で、フォローしてもらっておいて酒に付き合わないわけにもいかなくてさ。最近飲みに行ってなかったし、野分も今夜は帰ってこないだろうと思って行ったんだが・・・ちょっと飲みすぎたみたいだ。」

「教授と一緒で酔って帰るなんて珍しいですよね。」

ヒロさんは危なっかしいから、いつもはフラフラになる前に止めてくれているのに。

「いつもは文学の話してるんだけど、今夜はお前と高槻君の話で盛り上がって・・・」

「俺の話をしてくれたんですか?」

「うん・・・」

「どんなことを?」

「えっと・・・」

上司と恋話なんて、すごく気になるんですけど!

「・・・忘れた。」

「ヒロさん〜」

「思い出したら恥ずかし過ぎて死ぬかも。」

「あはは・・・それは困ります。」

どうしようかな・・・お風呂に入りたいけど、ヒロさん眠そうだし、俺が頭を洗っている間にバスタブに沈んでたりしたら危ないよね。ベッドに連れて行って朝まで寝ちゃおうかな。

「野分、俺、思ったんだけどさ・・・」

「なんですか?」

「この湿布剥がすの痛そうだなって。下に絆創膏も貼りっ放しだし。」

「あはは・・・それは仕方ないですよ。俺が痛くないように剥がしてあげますから我慢してください。」

「俺だけこんな目に遭うのは不公平だと思うんだ。」

「はぁ。」

「だからさー」

ヒロさんは俺の首に腕を絡めて抱き寄せると、首筋に唇を押し付けた。

「えっ・・・ヒロさ・・・ん///」

「仕返し♪」

ヒロさんから・・・こんな・・・無理・・・無理です!無理すぎますっ///

「ありがとうございます!!ヒロさんとお揃いで嬉しいです!」

「お揃い?そっか・・・俺も嬉しい///」

素直に嬉しいって言ってくれるなんて、お酒の力って凄い。

「ベッド行きますか?」

「うん。」

「寝るのもうちょっと後でも大丈夫ですか?」

「うん・・・」

「あのっ、俺もキスしていいですか?」

「ダメ・・・キス禁止・・・」

うっ・・・それは覚えてましたか。

「お前の分も・・・俺がするから///」

「あ〜〜〜///はいっ♪」

ヒロさんを抱き上げで寝室に運ぶ。今朝反省したばかりだけど、理性を保つのは難しそうだ。

「全部ヒロさんの所為ですよ。」

ヒロさんに聞こえないように小さな声で呟いた。




〜翌朝〜

「朝風呂って気持ちいですね〜」

「そう・・・だな・・・」

ヒロさんは頬をピクピク引きつらせながら、俺に背中を預けて大人しくバスタブに浸かっている。

「俺の分までキスマークつけまくってくださってありがとうございます。ほっぺに絆創膏貼っていったら夫婦喧嘩だと思われちゃうかもしれませんね。」

「その方が好都合だ。」

「あはは・・・こんなにラブラブなのに。」

ぎゅ〜っと抱きしめてもヒロさんはされるがままになってくれている。

目覚めたら昨夜の記憶は飛んでしまっていたようだけれど、俺の身体を見れば自分が何をやらかしたのか一目瞭然なわけで・・・

「そろそろ上がらねーか?お前も仕事だろ?」

「そうですね。でも、上がる前にヒロさんにキスしたいです。まだ禁止ですか?」

「いい!お前の分まで俺がするとか二度と御免だ!」

「では・・・」

唇を重ねて舌を絡めあう。

キス禁止令は一晩で終わり。我慢していたのは俺だけではない・・・ですよね♪
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