純情エゴイスト〜のわヒロ編〜

□大切な物
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今日は早く帰宅できたのでヒロさんと夕食を食べている。

唐揚げをつまみながら、ヒロさんに聞いてみた。

「もしも、大地震がきて1つだけしか持って逃げられないとしたら何を持って行きますか?」

「何それ?」突然の質問にヒロさんはきょとんとしている。

「心理テストです。今病院で流行ってるんです。」

「そうなんだ。う〜ん、1つだけだろ?」

ちょっと困ったような顔をして一生懸命考えている。

ただの心理テストなのに、ヒロさんはいつでも真剣だ。

あれ?ヒロさん、赤くなった。何考えてるんだろう?もしかして俺と同じことを…

「あの、ヒロさん?人間は無しでお願いします。」

「あ…そうなのか…」

やっぱり俺と同じこと考えてたんだ ///

俺がニコニコしていると、ヒロさんは慌てて

「別に、お前を抱えて逃げるとか考えてた訳じゃねーからな!勘違いするんじゃねーぞ!!」

ヒロさん、かわいいです♪でも、俺は少し意地悪だから…

「そうなんですか…」わざとしょんぼりして見せる。

「え!?そんなつもりじゃ…お前は俺がいなくても一人で逃げられるだろ?」

「そうですよね…でも、人間も有りだったら俺ですよね?」

「俺よりデカイから無理!」

「ダメですか…」俺がしゅんとすると

「テメー、わざとやってるだろー」あ…バレてる。

ガタン!!椅子ごとひっくり返されてしまった。

ヒロさん、痛いです〜



食事が終わると、ヒロさんはテストの問題作りをしに自室に籠ってしまった。

風呂が沸くまでの間リビングでTVを見ている

と、突然、部屋がグラグラと揺れ出した。

地震だ。横揺れだけど、結構大きい。

俺は慌ててヒロさんの部屋に向かった。ヒロさんの部屋は本だらけで危険がいっぱいだ。

「ヒロさん、大丈夫ですか。」

扉を開けようとしたとき、中からヒロさんが飛び出してきたので反射的に抱きしめた。

揺れは次第に穏やかになって、しばらくすると何事もなかったように静かになった。

「地震、おさまったみたいですね。」

ヒロさんは恥ずかしそうに俺を突き放しながら

「うん、いきなり本が落ちてきてビックリした。」

部屋の中を覗くと、机の側の本が雪崩を起こしていた。

「片付かけるの手伝います。って、あれ?ヒロさん何持ってるんですか?」

ヒロさんの手にはしっかりと黒い手提げバッグが握られている。何か、そのバッグ見覚えがあるような…

「こ、これは…なんだろうな〜ビックリして慌てて掴んできただけだ。別に大したもんじゃねーよ」

明らかに動揺してる…

「これはいいから、早く部屋片付けよーぜ」

「ヒロさん、そのバッグの中身見せてください。」

「だから、大したもんじゃねーって…お前には関係ねー!」

「関係なくないです!」

「どうしてお前はこういうことに拘るんだーーー」

「好きだから。」

平然と答える俺にヒロさんはどう対抗しようか迷っているようだ。

ヒロさんが怯んだすきに、バッグに手を伸ばすと中から何かがヒラリと落ちてきた。

俺が拾い上げると、ヒロさんが慌てて俺の手から奪い取った。

「ヒロさん、それって俺の手紙…」

それは俺が留学中にヒロさんに宛てて書いた手紙だった。

ヒロさんまだ持ってたんだ ///

ボーっとしていると、ヒロさんはバッグを掴んでバタバタと部屋の中に入って行った。

「あ!!ヒロさん、それ返してください!」

「ダメだ!!俺宛てだから俺のもんだって言っただろ ///」

「恥ずかしいから捨ててくださいって言ったのに、まだ隠し持ってたんですね。あれ?ヒロさんバッグは?」

「さあ?どこだろうな〜」

隠された!!

「ヒロさん、メッ!!」あ…いけない、いつもの癖が…

「俺をガキ扱いするんじゃねー!このボケカス!!」

物凄い勢いで本が飛んでくる。ヒロさん、痛いです…


いざという時に持って逃げる物、それは一番大切な物。

ただの心理テストだけれど、あながち外れてはいないのかもしれない。




〜おまけ〜

大切な物は隠しておこう♪

津森先輩から貰った写真、どこに隠そうかな〜
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