純情エゴイスト〜のわヒロ編3〜

□猫になったヒロさん
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「ふぁ〜…良く寝た…ヒロさん、おはようございま…わわっ!枕!?」

ヒロさんだと思って抱き締めていたのは枕で…フーッと軽く溜息をついた。

猫耳尻尾付きのヒロさんとベッドでイチャイチャとか…またありえない夢をみてしまった。

だけど、夢の中のヒロさんも可愛かったなぁ〜///思い出しただけで頬が緩んでしまう。

そろそろ起きなくちゃ…時計を見ると午後2時を回っている。

お風呂入って、ご飯食べて、買い物に行って、晩ご飯と作り置きのおかずを作ろう。

夜勤の時間までにヒロさん、帰って来てくれるといいな…

この後の予定を立てつつバスルームに向かうと

「にやぁ…」

どこからか可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。

猫?

キョロキョロと周りを見回すと、リビングのドアが僅かに開いていて、その隙間から小さな茶色い毛の猫が顔を出した。

猫はトコトコと俺に近づいてくると、足に顔をスリスリと擦り寄せてきた。

「猫…ですよね?」

両手で掬うように持ち上げて顔の前に持ってきて目を合わせると、猫は茶色い目を潤ませてプルプルと震えている。

「ごめんなさい。怖かったですか?」

床に下ろして、頭を撫ぜてあげたら気持ち良さそうに目を細めて

「にやぁ」

と鳴くと、また俺に擦り寄ってきた。

可愛いな〜。この子、どこから入って来たんだろう?

窓は…閉まってるし、玄関にもちゃんと鍵がかかっている。

首輪はしてないし…迷子かなぁ?でも、猫はちゃんと家に帰れるはずだし…外に出してあげれば大丈夫かな…

玄関を開けてあげると、猫はキョトンとして俺の顔を見上げた。

「さあ、お家にお帰り。」

「にやぁ…」

あれ?外に出ようともせずに俺の足にピトッと身体を寄せている。やっぱり一人じゃ帰れないのかなぁ…

「ミルクでも飲みますか?」

お腹を空かせていると可哀そうだと思って、小皿にミルクを入れて出してやると、猫はまたキョトンとした顔で俺を見上げた。

ん〜…お腹も空いてないみたいだ。

「じゃあ、俺はお風呂に入ってくるので適当に寛いでいてください。」

猫相手に何を言っているんだろうと思いつつ脱衣所の扉を開けると、猫がスルッと足元を抜けて入ってきた。

「えっ!?お風呂ですよ?猫はお風呂が嫌いなはずじゃ…」

戸惑いながら猫の方を見ると、バスルームの擦りガラスを軽くカリカリしている。

「お風呂…入りたいんですか?」

「にやぁ」

仕方なく猫と一緒にお風呂に入ることにした。

温めのお湯をかけてあげると猫は気持ちよさそうに目を閉じて大人しくしている。

人間用の石鹸しかないけど大丈夫かなぁ…

手で軽く泡をたてて身体を洗ってあげると、俺の手をペロペロと舐めてくれた。

「俺も洗ってくれるんですか?ありがとうございます。」

「みゃぁ…みぃー…くー…みゃぁ…」

可愛いなぁ…何か一生懸命言ってるけど、猫語はさっぱりわからない。

シャワーで泡を流すと、バケツにお湯を張って猫を入れた。流石にバスタブに一緒に入るわけには…

「シャー!!」

へっ!?怒ってる?

バケツに入れられて猫は不満そうにお湯をバチャバチャさせ始めた。

それからピョンとバケツから飛び出すと、俺の足にペシペシと猫パンチをし始めた。

この表情…拳の振り方…お風呂が好き…もしかして…

「ヒロさん!?ヒロさんなんですか?」

「にやぁ」

返事した!ヒロさん…可愛い///可愛すぎます///

「わかりました。一緒に入りたいんですね。」

たとえ猫の姿でも、俺と一緒にお風呂に入りたいなんて…嬉し過ぎます!

ヒロさんを抱きよせて、一緒にバスタブに浸かった。

「熱くないですか?」

「みやぁ」

「ヒロさんが好きなアヒルのおもちゃもありますよ。一緒に遊びましょう♪」

「にゃん」

ヒロさんはアヒルのおもちゃを猫パンチで動かして遊び始めた。中に水を入れて水鉄砲にして見せてあげたら、嬉しそうに俺の顔を見上げた。

お風呂から上がって、タオルで身体を拭いてあげるとヒロさんはトコトコとリビングの方に行ってしまった。

「ヒロさん、裸のまま行っちゃダメですよ!…あっ、猫だからいいのか。」

それにしても、ヒロさんに何があったんだろう?人間がいきなり猫になっちゃうなんて…

わかった。これは俺の夢だ。俺、まだ夢の中にいるんだ。早く起きなくちゃ。

洗面台の冷たい水で顔をバチャバチャ洗って目を大きく開いた。

起きました!

服を着てキッチンに向かう。とりあえず、ご飯…

「にやぁ」

「わっ!?ヒロさん?あれ?夢じゃなかったんですか?」

困ったなぁ…これが現実だとするとヒロさんは…

ヒロさんの方を見ると不安そうな顔で俺を見つめている。

そうですよね。早く元の姿に戻してあげないと…

「大丈夫です。俺がすぐに元に戻る方法を見つけます。信じてください。」

安心させるように頭を撫ぜてあげると、ヒロさんは嬉しそうに俺の手を舐めてくれた。

「ごめんなさい。ちょっとだけ…ご飯食べさせてください。」

お腹が減って思考回路が麻痺している。こういうときは冷静に、落ち着いて行動するのが一番だ。

ささっと食事の支度をして、腹ごしらえにかかる。

「いただきます。」

手を合わせた時、ヒロさんが足をポンポンと叩いてきた。

「あっ、ごめんなさい。ヒロさんもご飯食べますか?猫でも食べられる物…あったかなぁ?」

冷蔵庫を開けようとしたら、ヒロさんがシンクの下の棚をカリカリし始めた。

「そこに何かあるんですか?」

不思議に思いながら開けてみると…猫缶が積み上げられている。なんで?

訳がわからないけど丁度いい。猫缶を開けてあげると、ヒロさんは美味しそうに食べ始めた。
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