☆彡秋のエゴイスト2

□想い想われすれ違い?
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11月22日。今日はヒロさんの誕生日♪

昼までの勤務だった上に、奇跡的に定時で上がることができた。

時間がたっぷりあったので手作りケーキに挑戦!

クリームの塗り方がちょっと歪になってしまったけれど我ながらいい感じに仕上がったと思う。

ご馳走を沢山作って、ワインも奮発していつもより高価な物を選んだ。

プレゼントも準備万端。ヒロさんに喜んでもらえる自信がある。

病院からの呼び出しも…今のところは大丈夫。

それなのに〜

「ヒロさ〜ん!いつになったら帰って来るんですか〜!?」

もう9時を回っているのに、肝心のヒロさんが帰ってこない。

遅くなるなんて話はしていなかったし、カレンダーにも何も書かれていないのに…残業かなぁ?

まさか…ヒロさんの身になにかあったんじゃ…

サプライズでお祝いしたかったから連絡は取らないでいたのだけれどヒロさんが心配だ。電話してみよう。

スマホを操作してヒロさんの番号に電話をかけると

「ただいま!!」

玄関扉がバタン!と大きな音を立てたと同時にヒロさんが飛び込んできた。

早足で玄関に向かうと

「おわっ!なんだ!?誰だよ?こんな時に電話してくるとかありえねー!!」

ヒロさんはポケットからスマホを取り出してあたふたしている。可愛い///

「お帰りなさい。その電話俺からなので出なくていいです。」

スマホの通話完了ボタンを押してニッコリと微笑んだ。

「野分…」

ヒロさんはハアハアと肩で息をしている。

「急いで帰ってきてくれたんですね。ありがとうございました。」

残業して疲れているのに、俺と少しでも長く誕生日を過ごしたくて走って帰ってきてくれるなんて。

嬉し過ぎて、気がついたらヒロさんに抱きついていた。

「ヒロさん、大好きです!!」

「お…おう///」

ヒロさんは俺を宥めるように背中をポンポンすると、そっと離れて靴を脱いだ。

「遅くなって悪かった。」

「気にしないでください。いつもは俺がヒロさんを待たせてしまっているのでお相子です。それに、仕事を優先するのは当然のことですから。」

いつもヒロさんから言われているセリフをサラッと返すと、ヒロさんはちょっと気まずそうに目を反らしてしまった。

リビングに戻ると、ヒロさんは鞄をソファーに置いて…

「何だこれ?クラッカー?」

テーブルの上に置いてあったクラッカーを手に取ったかと思ったら

パパン!!

俺の頭上に紙テープが降ってきた。

「ヒロ…さん…」

「ゲッ!わ…悪ぃ…」

「プッ…もう!ヒロさんをビックリさせようと思って用意したのに。」

ヒロさんがリビングに入るタイミングを狙って鳴らそうと思っていたのに、俺の方が驚かされてしまうなんて。

「大丈夫か?人に向けて鳴らしちゃダメだってわかってたのに、つい紐引いちまった。」

俺に降りかかった紙テープを払いのけながら、ヒロさんは申し訳なさそうに俺の顔を見上げている。

「アハハ…大丈夫ですよ。これはこれで楽しいです♪」

「なんか色々考えてくれてたのに、ごめんな。」

「ヒロさんを喜ばせるために計画したのに、そんな顔しないでください。ご馳走の用意をしておくので、手洗って来ちゃってください。」

ヒロさんの背中を軽く押すようにしながら洗面所に促して、俺はキッチンに。

鍋を温め直しているところにヒロさんが戻ってきた。

「いい匂い…今夜はクリームシチューか。外寒かったから温まる物が食べたかったんだ♪」

「それは良かったです。もうちょっとかかるので待っててください。」

「ああ、部屋で着替えてくる。」

温まった料理から手早く食卓に並べていく。

冷蔵庫からケーキとサラダを取り出して、食器棚からワイングラスも持ってきた。

椅子に腰掛けて待っていると着替えを終えたヒロさんが戻って来た。

「あっ…指輪…」

ヒロさんの薬指には以前誕生日にプレゼントした指輪が嵌っている。

俺としたことが肝心な物を忘れていた。まさかヒロさんが率先してつけてくれるなんて///

目をパチクリさせていたら、ヒロさんは照れ臭そうに開いていた手をグーにした。

「プッ…グーにしても指輪は隠せませんよ。俺もつけてきますね♪」

ヒロさんとお揃いの指輪を取りに急いで自室に駆け込んで…ダッシュで戻る!!

「お揃いです♪」

お互いに仕事中は嵌められないけれど、指輪を持っているだけで幸せな気分になれる。こんな風に特別な日に嵌めるのは尚のこと嬉しい。

椅子に座っているヒロさんを後ろから抱き寄せて…キスをした。
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