☆彡秋のエゴイスト2

□恋敵は小学生?
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「いただきます。今日はアジフライか。」

「旬のアジですよ♪いただきまーす!」

食卓には野分の手作り料理が並んでいる。いつも作り置きはしてくれているけれど、野分と差し向かいで食べる晩飯は格別だ。

「ゆっくり休めたか?」

「はい。お昼まで寝ちゃいました。」

野分は困ったように笑って話を続けた。

「午後から買い物がてら草間園に顔を出してきました。みんな元気いっぱいで楽しかったです♪」

「それは良かった。」

大勢の子供達を相手にするなんて想像しただけでも疲れてしまいそうだが、野分は違うらしい。

子供達と一緒にいることがストレス発散&疲労回復に繋がるなんて、野分の身体のメカニズムは理解不能だ。

「颯がヒロさんに勉強みてもらいたいそうなんですが、お願いできますか?」

「いいよ。今度の休みに行ってみる。」

「ありがとうございます。園の方に伝えておきますね。」

颯は草間園に住む小学6年生。ガキのクセに大人を呼び捨てにする大物だ。

最初は抵抗があったけれど、呼び捨てにするのは信頼の証だと聞いて納得した。

古典に興味を持っていて、俺に色々と質問してくる。勉強に関しては真面目で熱心で、教えているこっちまで嬉しい気分になるんだ。

「嬉しそうですね。颯と古典の勉強するの楽しいですか?」

「ああ、スゲー楽しい。」

「俺に教えるのとどっちがいいですか?」

「颯。」

「即答ですか〜!?酷いなぁ。」

ガックリと項垂れる野分に説明を続けた。

「だってお前の場合は教えなくても全問正解しまくって全然教え甲斐なかったし、古典と日本語文法に関しては試験終わった途端に頭から消え去ってるし!」

「すみません…俺の家庭教師するのつまらなかったですね。」

「そんなことはねーけど、勉強してる時よりキスされたり抱き着かれたりしてる時の方がドキドキして…」

「楽しかったですか!!」

「バカ!受験生相手になにやってんだ〜って、お前が帰ってから毎回反省会してたわ!」

「あはは…ヒロさん可愛い///」

「可愛くねーよ!」

思い出したらなんだかムカついてきた。俺がわざわざ時間を割いて文系科目を重点的に教えてやったのに、理系で受験しやがって!

「歳は離れてるけど颯とは趣味が合うし、エロ妄想癖もないし、無駄にデカくないし、大人になるのが楽しみだ。」

「俺が気にしてること並びたてるのはやめてください。颯は弟みたいなものだしまだ子供だからヒロさんと仲良くしていても嫉妬しちゃダメだって思ってるのに…不安にさせないでください。」

野分の声が微かに震えている。子供相手に過剰反応し過ぎだろ。

「俺のことそんなに信用できない?ガキ相手に浮気するとか思ってんのか?」

「そうじゃないけど…」

「じゃあなんなんだよ?」

「…もういいです!」

それっきり、会話を楽しむ雰囲気ではなくなってしまい、二人してもくもくと箸を動かした。

ちょっと言い過ぎたか?いやいや、弟分相手に比較してつまらん嫉妬してる野分が悪い!
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