☆彡拍手のお礼ログ
□2016年度
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(2016年4月1日)
「拍手ありがとうございます。草間野分です。」
「上條弘樹です。今年度もよろしくお願いします!」
「野分と上條さんを見守る会会長、津森です♪」
「上條の上司の宮城庸です。上條がいつもお世話になっています。」
「宮城の恋人の高槻忍です。」
「高橋美咲です♪お邪魔してます!」
「えっと、挨拶全員終わりましたか?」
年度初めだからと皆集まって来てしまった。こんな大人数で上手くできるかなぁ…
津森先輩は勝手に変な会を作っちゃってるし、忍君は明らかに宮城教授についてきただけっぽいし…
「あーきーひーこー!一人で別世界に入ってんじゃねーよ!もう始まってるぞ!」
あっ!?
宇佐見さんは部屋の隅でメモ帳を片手に考え事をしていたようだ。全然気配に気付かなかった。
「はいはい。わかったから怒鳴るな…宇佐見秋彦です。今月末に『純愛エゴイスト』の新刊発売予定です。お楽しみに。」
「おい!それ何の話だ?勝手に宣伝してんじゃねーよ!このエロ小説家!!」
「お二人ともその辺にしてください。読者さんの前で喧嘩なんて恥ずかしいですよ。」
止めに入ると宇佐見さんはしれっとした様子で美咲君の隣に座った。ヒロさんはムスッと口をへの字に曲げている。
相変わらず仲がいいんだか悪いんだか…
「えっと、今日は皆さんお揃いなので今年度の抱負を発表していただきたいと思います。まずは、魅惑のエンジェル俺のヒロさんからどうぞ♪」
「バカみたいな紹介してんじゃねーよ///ボケカス!!」(ボカッ!!)
痛たた…思いっきり殴られてしまいました…
「ふっ…」
宇佐見さんに鼻で笑われた…
「バカップル…」
忍君!そんな冷たい目で見ないでください。宮城教授は肩を震わして笑いを堪えているし、美咲君は真っ赤になっている。
だけど、ヒロさんは俺にとっては天使だし、俺だけのものだってアピールもしたかったんです…
「まあまあ、野分のバカは放っておいて、上條さんの抱負を聞きましょう。」
先輩まで…さり気なくバカって言わないでください。
「俺はもっと研究に力をいれたい。学部長にドイツの学会に同行させて貰えるようになりたいんだ♪」
「えっ!?ヒロさんドイツに行っちゃうんですか?」
俺そんなの初耳なんですけど…
「心配すんな!学会だからすぐに帰ってくるし、今の実力じゃまだ連れて行って貰えねーよ。」
「俺だってなかなか同行させて貰えないのに、上條には10年早いな。」
宮城教授がからかうように口を挟んだ。
「目標は高い方がいいじゃないですかー!」
仕事熱心なのはいいことだと思うけど、俺はちょっと寂しいな…
「あと、ゼミの学生を全員希望の就職先に押し込んで、犬の世話も頑張る!」
ヒロさんは教え子思いの良い先生なんですね…動物にも優しいし…ん!?
「ヒロさん…犬の世話って何ですか?」
「うちにいるだろ?真黒な大型犬。」
それは俺ですね…
ヒロさんは照れ屋さんだから皆の前で俺の名前を出すのは恥ずかしかったのだろう。
犬呼ばわりされるのは不本意だけど、ヒロさんが俺との時間を作ろうとしてくれていることに嬉しくなる。
「ありがとうございました♪次は宮城教授お願いします。」
「俺?俺は今年度も芭蕉様一筋かな〜。もっと芭蕉を極めたい!」
「みーやーぎー…テメー!」
「わわっ…し、忍ちん…俺は真面目に仕事の抱負を語っただけで、プライベートでの一番はお前だから…」
「本当?」
「まったく、皆の前で何言わせるんだ///」
「おっさん赤くなってる。」
「誰の所為だ!」
宮城教授と忍君も仲が良さそうだ。俺とヒロさんには敵わないけど。
「忍君の抱負は何ですか?」
「宮城に決まってんだろ!!」
そう…ですね。趣味は宮城教授、抱負も宮城教授…なんだか大変そうだけどちょっと羨ましい。
「では次、宇佐見先生どうぞ♪」
「美咲と世界一周旅行に行く。これは抱負じゃなくて決定事項だ。」
「俺は初耳なんですけど…」
宇佐見さんの言葉に美咲君はゲンナリと肩を落としている。
「お前はとりあえず締め切りを守れ!現実逃避してんじゃねーよ!」
「まずは自家用ジェットを新調して…クルーザーもいいな…」
『人の話を聞け!!』
美咲君とヒロさんに怒鳴られて宇佐見さんは不満そうに溜息をついた。
「次は美咲君、お願いします。」
「俺はまずは仕事に慣れるように頑張ろうかと…だけど…」
「どうしました?」
美咲君は浮かない顔でヒロさんを見つめた。
「原作の進行の都合上、俺、もう暫くM大に残るような気がするんですけど…」
「ああ、そうだろうな。折角卒業出来たのに残念だな。」
「上條先生の授業受けないとダメですよね?」
「当たり前だろ!『可』はやったが、お前はまだまだ勉強不足だ。たっぷり鍛えてやるよ!」
「草間さん!!」
「あはは…頑張ってください♪」
俺なら喜んでヒロさんの授業受けるけど、美咲君にとっては大変なことらしい。
折角単位とって就職も決まったのに、留年みたいになってしまってちょっと可哀そうな気もするけど…もう少し学生時代を楽しんでください♪
「ねーねー、俺にも聞いて♪」
「先輩?抱負なんてあるんですか?」
「失礼なヤツだな。あるに決まってんだろっ!」
「じゃあ、どうぞ。」
「俺の抱負は野分を一人前の医者に育てること!」
「先輩…」
俺のことをそんなに気にかけてくれていたなんて…
さっきは失礼な態度をとってしまってごめんなさい。俺、頑張ります!!
「職場では俺がしっかり野分の面倒みますんで、ご安心ください♪」
先輩はそう言いながら俺の肩に抱きついてきた。
「先輩、離れてください!そんなにくっついたらヒロさんが…」
ヒロさんの方を見ると、背後に黒い炎がメラメラと燃えている…怒ってる…ヒロさんが怒ってます…
「か…上條?草間君みたいになってるぞ。ここは冷静に…なっ?」
宮城教授がフォローに入ってくれたけど、ヒロさんに教授の言葉は届いていないみたいだ。
「ウサギさん…怖いよ〜」
「大丈夫だ。怖かったら目瞑ってろ。」
宇佐見さんと美咲君はそろっと離れて避難している。
そんな雰囲気の中、忍君の一言が留めを刺した。
「なに?草間さん二股かけてんの?」
ブチッ!!…切れた!?
「俺の野分に気安く触んなって言ってんだろっ!!テメーも、触らせてんじゃねーよ!!」
ドカッ!!
俺と俺に抱きついていた津森先輩の頭の上にヒロさんの足が落ちてきて…二人揃って床に顔面をぶつけた…
「スゲー…」
忍君、感心している場合じゃありません。留学から帰国した時に受けた踵落とし級の威力です…あまりの痛さに声を上げる余裕もなかった。
ズキズキする頭を摩りながらやっとのことで顔を上げると、ヒロさんの手が伸びてきた。
「ヒロさん…」
「悪い…つい手が…いや、足が出ちまった。大丈夫か?」
心配そうに俺の顔を見つめるヒロさん。
「俺は大丈夫です。慣れてますから…」
ちらっと先輩の方を見ると倒れたまま撃沈している。慣れてないとこうなるんだ…
痛かったけど、ヒロさんがヤキモチ妬いてくれたと思うと嬉しくて頬が緩んでしまう。
「本当に大丈夫か?頭打ってどこかおかしくなったんじゃ…」
あっ、ニヤニヤして要らぬ誤解を招いてしまったようだ。
「大丈夫です。先輩も多分…先輩、大丈夫ですか?起きてください。」
声をかけたけど返事が無い。気絶しちゃったのかなぁ…
「津森さん、すみません。大丈夫ですか?」
ヒロさんが心配して先輩を抱き起こすと、先輩はしがみつくようにしてヒロさんに抱きついた。
「大丈夫…あっ…すみません。ちょっと立ちくらみがして…」
そんなことを言いながらヒロさんの背中に手を回して温もりを確かめるようにヒロさんの胸に顔を埋めている。
ワザと…ですね?
「先輩、ヒロさんから離れてください!痛いところがあるなら俺が診てあげます!」
無理やりヒロさんから引き離すと、先輩はチッ…と軽く舌打ちをした。もう、油断も隙もないんだから…
「それでは読者の皆さんとはこの辺でお別れしたいと思います。引き続き本篇もお楽しみください。」
「えっ!?ヒロさん、待って下さい。何か忘れてませんか?」
「何も忘れてねーと思うけど…なっ!秋彦。」
「ああ、そうだな。」
「宇佐見さんまで…俺の抱負は…」
「恥ずかしいから公表すんな!」
「草間君、言わなくても皆わかってるから。」
「惚気話は弘樹だけで十分だ。」
「そんな〜俺も言いたいです!」
「言ったらコロス!」
「『ヒロさんともっともっとイチャイチャしたい』だろ?」
忍君…何で言っちゃうんですか〜
「では、本篇でお会いしましょう♪」
美咲君に締められてしまいました…俺が仕切っていたはずなのに…読者の皆さん、俺、頑張ります!
今年度も応援よろしくお願いします。