純情エゴイスト〜のわヒロ編6〜

□ヒロさんはパンダ?
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「のーわーきー!」

名前を呼ばれたと思ったら…

「うぐっ!!」

いきなりお腹の上に飛び込まれてしまった。く…苦しい…です…

「ヒロ…さん?」

俺、何かしましたか?

ヒロさんらしからぬ行動に唖然としてしまう。

いつも俺の身体の心配をしてくれて家にいる時はゆっくり休めるようにと気遣ってくれるヒロさんが、早朝に帰宅して眠っていた俺をこんな風に起こすなんて…

一体何がバレたんだろう?隠し撮りした写真?それとも、ゴミ箱からこっそり集めているヒロさんコレクション?…思い当たることが多すぎて

「ごめんなさい!全部俺が悪いです。」

咄嗟に謝った。

何度もやめろと言われているのに、ヒロさん恋しさに気がつけば集めてしまっている。先月も怒られたばかりなのに…

今回は相当怒っているに違いない。本気で反省しないと愛想を尽かされてしまうかも。ヒロさんに嫌われたら俺は…

「野分?…これってお前がやったのか?」

何のことだかわからないけど、何かやらかしたのだとしたら多分俺…ですね。

「はい。本当にすみませんでした!」

「スゲー!!どうやってやったんだ!?医者ってこんなことまでできるんだな。」

ん…?

ヒロさんはすごく嬉しそうに頬を紅潮させてはしゃいでいる。

「怒ってるんじゃないんですか?」

「何で?」

ヒロさんはキョトンとして首を傾げている。

「あの〜俺は一体何をやったんでしょう?」

「えっ?それは俺が聞きたいんだが…お前、今自分がやったって言ったよな?」

「すみません。適当に答えました。」

「嘘!?だって、この格好見て普通にしてんじゃん!お前が俺をパンダにしたんだろ?」

パンダ…?

「してませんけど…パンダって何ですか?」

「へっ?俺、パンダになってるだろ?」

「なってません。」

いつも通りのヒロさんですけど。

「あれ?でも、ほら…」

ヒロさんは自分の手をまじまじと見つめて、俺にも見せてきた。

「パンダの手。」

「いえ、ヒロさんの手です。もしかして、ヒロさんには自分がパンダの姿に見えてるんですか?」

「えっ!?パンダに見えてるの俺だけなのか?」

「多分そうです。俺にはいつもどおりの可愛いヒロさんに見えます。」

「そっか…こんなに可愛いのに、残念だな…」

ヒロさんは本当に残念そうに肩を落としている。

「目が覚めたら身体がなんかモフモフしてて、手もこんなだろ?慌てて鏡見たらパンダが映ってたから嬉しくてさ。」

「嬉しかったんですか?」

「うん!だって、こんなに可愛いんだぜ!お前にも早く見て欲しくて…あー、起こしてすまん。ちょっと興奮してて…」

「それはいいんですけど。」

これって、はしゃいでいる場合じゃないんじゃ…

引き出しから携帯用の鏡を取り出してヒロさんに見せた。

「まだパンダに見えますか?」

「可愛い///なんて可愛いんだ〜俺♪」

ヒロさんの口からありえないセリフが…

ヒロさんは両手で大切そうに鏡を持って目をパチクリさせてみたり、首を傾げてみたり…可愛らしい仕草をしながら鏡に魅入っている。子供のような満面の笑顔で。

「可愛いです///」

「だろっ♪」

うっ…ヒロさん…その笑顔は反則です…

あまりの可愛らしさに鼻血が吹き出してしまった。

それにしても、ヒロさんに一体何が?寝ぼけてるようには見えないし、あ…ちょっとだけお酒の臭いがするかも。

「ヒロさん、酔ってます?」

「秋彦の家で飲んだけど…俺、酔ってるのか?」

なるほど、昨夜は宇佐見さんの家で酔い潰れちゃったんですね。

「多分、酔ってるんだと思います。宇佐見さんに送ってもらったんですか?」

「覚えてねー。目が覚めたらベッドにいて…」

「ヒロさん…」

本当に無防備なんだから。もしかして、パジャマも宇佐見さんに着せてもらったんですか?

「確認してきます。」

玄関に行って、新聞受けを開けると新聞と一緒に鍵が落ちてきた。やっぱり…
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