純情エゴイスト〜のわヒロ編3〜

□菖蒲湯に入ろう♪
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「よし!完璧!!」

どうだ、野分!俺だってやろうと思えばこれくらい出来るんだからな!

ピカピカに磨かれたバスルームを見渡して自己満足に浸る。

普段はつい手を抜いて、お湯を張る前に磨く程度なのだが…今日は特別念入りに掃除をしてみた。

後はお湯を張って菖蒲の葉を浮かべれば準備完了だ。

バスタブに蓋をして給湯ボタンを押した。菖蒲の葉はバケツに入れて脱衣所に置いてあるし…もうすることないよな。

そわそわしながらリビングに戻ってソファーに寝転ぶと、いつものように本を広げた。

もうすぐ2時か…そろそろ帰ってくる頃かな?

本に目を戻して数行も読まないうちにまた時計を見る。それから玄関の方から足音がしないかと耳を澄ます…

まだ…みたいだな。

再び本を開いたがどうにも集中できない。

まさかとは思うが、急に帰れなくなったってことはねーよな…

恐る恐る携帯の着信を確認する…良かった。

だけど、安心するにはまだ早い。野分の場合、忙し過ぎて連絡する暇も無いなんてこともざらにあるのだ。

あーーーっ!どうして、アイツのことでこんなにグルグルしなきゃなんねーんだ!

昨日会ったばかりだというのに、早く逢いたいとか…俺らしくもない。

別に野分と一緒に風呂に入るのを楽しみにしてるわけじゃねーし。

休み続きで暇だったから念入りに掃除してみただけだし。

こんな時間に風呂の用意したのは野分が夕方にはまた病院に戻らないといけないからであって…

折角の菖蒲湯なんだから俺は後で一人でゆっくり浸かりたいし。

「ただいまです!」

野分!帰ってきた♪

「お帰り。」

慌てて本を広げてワザと無愛想に返事をする。

我ながら可愛げがないとは思うが、こういう性格なんだから仕方が無い。

野分がスタスタとリビングに入ってきた。

「ヒロさん、逢いたかった〜」

「バカっ!昨日逢ったばかりだろ!暑苦しいから抱きつくな。」

つい心にもないことを言ってしまう。

「でも…」

野分…またしょんぼりさせちまった。

「風呂、もうすぐ沸くから汗流してこいよ。菖蒲の葉っぱも買ってきたし。」

「ヒロさんも入りましょう♪」

「俺は…後で入るからいい。」

素直になりたいのにどうして俺は…

「そんなこと言わないで。昨日いいって言ったじゃないですか。俺、ヒロさんと一緒にお風呂に入るの凄く楽しみにしていたんですよ♪昨夜もウキウキしてあまり眠れませんでした。」

野分は笑顔でそんなことを言いながら俺のTシャツを捲りあげた。

「おい!何して…」

「俺が脱がしてあげます。」

「後で入るって言ってんだろ!人の話を聞け!」

「大丈夫です♪」

「何がだー!」

あっという間に服を剥ぎ取ると俺を抱きあげてバスルームに運び出した。真昼間から裸にされて抱きあげられるとか…物凄く恥ずかしい///

野分の首に腕を絡めて、赤くなった顔を見られないように胸に顔を埋めた。

「なんで俺だけ裸なんだよ///お前も早く脱げ!」

「えへへ…好きな子には意地悪したくなっちゃうんですよ。ちょっとした反抗期です♪」

「笑顔でそんなこと言うな!この変態!」

「ヒロさんは可愛いです。」

やっぱり俺には野分みたいなのが合ってる。ちょっと強引なところもあるけど、俺のプライドの壁を軽々とぶち壊してくれるから…
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