純情エゴイスト〜のわヒロ編2〜
□野分服を買う
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今日は一人で駅前のデパートに買い物に来ている。
メンズ用品の専門店が並ぶフロアーで、大きいサイズの服が充実しているショップに入ってみた。
服を眺めながら今朝のことを思い出す。
明け方に帰宅してリビングで寝ていたら、起きてきたヒロさんに起こされた。
「部屋で寝てろ」と言われたけれど、ヒロさんが朝食を作ってくれたので一緒に食べることにした。ちょっと眠かったけれど、ヒロさんと顔を合わせることができて嬉しかった。
出かけ際に玄関までヒロさんを見送りに行ったら、ヒロさんは眉間に皺を寄せて俺の着ていたTシャツの袖を軽く引っ張った。
「どうかしましたか?」
と尋ねたら。
「ここ、糸がほつれてる。」
と指摘されてしまった。
服には無頓着だから言われるまで気がつかなかったけれど、着替えを選ぶのにクローゼットを開けたら色あせた服や裾がほつれかかった服が結構あった。
これから暑くなって着替える頻度も多くなる。こんなくたびれた服ばかり着ていたらヒロさんに嫌われてしまいそうだ。
以前、ヒロさんに「3日も同じ服着てるな。」と文句を言われたのを思い出した。
もう少し身だしなみに気を遣わないといけないな…
と言う訳で、新しく夏服を買うことにした。
本当はヒロさんに選んで欲しいんだけど、ヒロさんと休みが合う日はなかなか無いし、今日だって夕方には病院に戻らなければならない。
それで、一人で買い物をすることにしたのだけれど…
目の前に並んだ沢山の服を見て溜息をついた。ファッションには疎いからどんな服を選べばいいのかがわからない。
生地がしっかりしていて、無難な色で、サイズが合えば何でもいいや。
とりあえず、白のシャツとGパンを籠に入れた。あとはTシャツかな…
無地の物やボーダー柄、プリントの入った物…色々あるけどどれにしようかな。
いつも黒や青系の無地のTシャツに偏ってしまって、ちゃんと着替えていても同じのを着てるように見られてしまうことがある。何かワンポイントがあった方がいいよね…
何か無いかと探していると、背中に『研修中』と大きく書かれたTシャツを見つけた。
俺のこと?と思ったけれど、いくら研修医でもこんなの着てたら津森先輩に笑われてしまいそうだ。苦笑しながら元の場所に戻す。
そのすぐ傍に黒地に白文字で胸のところに小さく『MONDAY』と書かれたTシャツがあった。
「月曜日?」
他にも色々な色があって『SUNDAY』から『SATURDAY』まで全ての曜日が揃っている。
これなら、無頓着な俺でも忘れないでちゃんと着替えられそうだ。それに、同じような色でも文字が違えば違う服だってわかるし♪
選んだのは黒と紺とグレーと白の4色。文字は一週間分バラバラで、連日で同じ色にならないように気をつけて選んだ。
これで大丈夫♪
会計をしにレジに行こうとしたら、後ろから声を掛けられた。