その他いろいろ
□ビックパンダは誰の手に?
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Side 津森
今日は夕方まで休み。昼までゆっくり寝ていようと思っていたのに朝の9時に目が覚めてしまった。
休める時に休んでおかないと身体が持たない。もう少し眠ろうと目を閉じたが、こういう時に限って全く眠たくならない。
仕方なく寝るのは諦めてパジャマのままリビングに向かった。
コーヒーを片手に新聞を開くと、爽やかなパステルカラーのチラシが目を惹いた。
大判のチラシの隅には聞き慣れない店の名前が印字されている。
開いてみると、それは駅前に新しくできたファッションビルのオープン記念セールの広告だった。
「へえ〜…このビル、メンズブランドのテナントも結構入ってるんだな…」
スプリングコート、新しいの買おうかな…靴も欲しいし…
天気も良さそうだから、行ってみるか。
シャワーを浴びて身支度を整えると、足取り軽く家を出た。
俺、すげーラッキーかも!?
今日は買い物に来て正解だった。前にTVで見て気になっていたシューズ、どこを探しても見つからなかったのにラスト1足で手に入れることができた。
それに、コートも俺の好みドストライクのが見つかったし♪
オープン記念セール中と言っても、今日は平日だし、メンズ用品のフロアーは比較的空いていてゆっくり買い物が楽しめた。
荷物を抱えてウキウキしながらエスカレーターを降りると、一階のイベントスペースで抽選会が行われていた。
そう言えば、抽選券何枚か貰ってたっけ…
普段は抽選会なんてスルーしてしまうのだが、今日は時間と心に余裕がある。
ポケットティッシュがもうすぐ切れるころだな…ちょっと並んでくか。
並んでいるのはOL風の若い女性が多いが、そこは気にしないことにしよう。
五分くらいで順番がきて、ガラガラを回すと白い玉が出た。
ポケットティッシュゲット!…って、所帯じみてないか…俺。
連続で白い玉が出て、次がラストだ。ちょっとだけ気合を入れて回してみると、出てきたのはまたもや白…と思いきや白に黒の水玉模様!?
こんな色の玉初めて見たぞ。まじまじと玉を見つめていると、店員が鐘をならした。
「おめでとうございます!3等がでました!!」
並んでいる女性たちの視線が集まる。嬉しいというよりもいたたまれない気分だ。
「3等の景品はこちらになります。」
そう言いながら、店員が出してきたのは大きなパンダの縫いぐるみだった。
「デカ…」
思わず声が漏れる。実物大?小児科に入院している子供達より明らかにデカイ。
縫いぐるみを受け取ると、見かけによらず軽くて安心した。でも、こんなもん持って歩けねーし…
戸惑っていると、女性店員が
「あちらのサービスセンターで配送手続きも承りますよ。」
と案内してくれた。
「どうも。」
パンダを抱えてサービスセンターに行こうとした時、母親に連れられた小さな女の子と目があった。
ラッキー♪
「こんにちは〜。このパンダ、お兄さんより小さい女の子と遊びたいみたいなんだ〜。よかったら貰ってくれないかな?」
声をかけると、女の子は目を輝かせた。イケる!…そう思った時、無情にも母親が口を開いた。
「お気持ちはありがたいんですけど、そんなに大きなパンダ、うちには置くスペースがないのでごめんなさい。」
断られてしまった。女の子は残念そうにパンダに手を振っている。
病院にでも送るか…
サービスセンターに行くと、担当の女性店員が必死に笑いをこらえながら対応してくれた。
抽選の景品ということで送料は無料らしい。
配送先に病院の住所を書こうとして、ふと面白いことを思いついた。
野分に送ってやったらどんな反応するだろう?
大きなパンダに目を丸くする野分の姿が目に浮かぶ。
宛先は野分で決定だな♪