☆彡春のエゴイスト
□穏やかな休日
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目を開けると、俺の顔を映した真黒な瞳と視線がぶつかった。
ビックリしてパチパチと瞬きをしていると、真黒な目の主はにっこりと微笑んで
「おはようございます。」
と、俺の額に軽くキスをした。
「ビックリした…お前、顔近すぎ…」
ゆっくりと上半身を起こすと、野分も一緒に起き上がった。
「おはよう…お前、いつから起きてたんだ?」
「8時くらいに目が覚めちゃいました。」
時計を見ると11時を回っている。
「まさか、3時間も俺の寝顔を見てたとか言わねーよな?」
「ダメ…でしたか?」
野分が叱られた犬のように悲しそうな目で見つめてきたので、慌てて目を反らした。
「ダメじゃねーけど。寝顔見られるの恥ずかしい///」
「大丈夫です。ヒロさんは寝顔も可愛いです。」
大丈夫じゃねーよ…間抜け面で寝てるところを3時間も見られていたなんて、想像するだけで顔から火を吹きそうになる。
布団をギュッと握りしめて、心を落ち着かせようとしていると、野分が申し訳なさそうに肩を叩いた。
「ヒロさん、俺、飯の支度してきます。」
「ああ…頼む。」
「あの〜」
「何だよ?」
「パジャマの裾、放していただけますか?」
え?ギュッと握った拳を開くと、布団と一緒にしっかりと握られていた野分のパジャマがスルリと抜けた。
野分はクシャクシャになった裾を伸ばしながら立ちあがった。
「ごめん///」
「気にしないでください。横着してベッドに入ったままパジャマを着てしまった俺が悪いんです。」
「もしかして、俺が握ってたから起きられなかったとか?」
「違いますよ。ヒロさんが可愛すぎて起きられなかったんです。」
さらりとそんな台詞を言うから、恥ずかしいのを通り越して呆れてしまう。
「お前なー」
「ヒロさんはシャワー浴びてきてください。その間に何か作ります。」
「うん。」
ベッドの下に落ちていたパジャマを拾うと、上だけ羽織って立ちあがった。野分は部屋のドアを開けたところで立ち止まって、何故か目を瞬いている。
「ヒロさん、まだ足りないんですか?」
「何が?」
「その格好、俺を誘ってるとしか…」
俺の下半身をまじまじと見つめる野分の頭をボカッと殴った。
「誘ってねーよ!じろじろ見るなこの変態!!」
「ヒロさんがそんな恰好するからいけないんですよ。」
野分の言い訳は聞き流して、早足でバスルームに向かった。