☆彡拍手のお礼ログ
□2018年度
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(2018年4月15日)
「ご訪問ありがとうございます。上條弘樹です。」
「草間野分です。拍手ありがとうございます♪」
天候が良いのでバルコニーに長椅子を出して、野分と二人で日向ぼっこ。
傍らにはお気に入りの本と野分が作った抹茶クッキーもある。
たまにはこうしてのんびりと過ごすのも悪くない。
「んーっ!良い気持ちです♪なんだか眠くなってきちゃいますね。」
「おい、読者様に挨拶したばかりなのに寝ちゃダメだろっ!」
「アハハ…失礼しました。ヒロさん、終ったら膝枕してください。」
「お前はまたっ///」
三十路の男が人前でイチャイチャするなんてありえないと思うのだが…どうやらこのサイトでは需要があるようなので…特別に貢献してやるか。
「終わったら…だからなっ///」
「はいっ♪」
笑顔で尻尾を振る野分につられて、うっかり頬が緩みそうになる。
クッキーを抓んで口に入れると、程よい甘さと抹茶の香りが口内に広がった。
「あ、美味い…」
「じゃあ俺も♪」
俺の反応に野分は嬉しそうに微笑んで、クッキーに手を伸ばした。
「で、今日はどーする?俺らはいいけど、まったりしてるだけじゃ読者様がつまんねーだろ。」
「そうですね…ヒロさん、何してほしいですか?」
「お前が俺に何かするのが前提なのかよ…」
呆れ顔で見上げると、にこにこしながら頭を撫でてきた。また人前でそーいうことを!
ボカッと殴りつけると、頭を抱えてクスクスと笑っている。ムカつく…
「そうだ!俺、絵描き歌を考えたんですけどここでお披露目してもいいですか?」
そう言ったかと思ったら、何処からともなくスケッチブックとペンを出してきた。
絵も歌もさして上手くもねーくせに。マジでここで披露するつもりなのか?
「俺、絵があまり得意じゃないので絵描き歌にすれば上手く描けるんじゃないかって思ったんです。」
「ふーん…他にすることもねーし、やりたいならどーぞ!」
「折角なので、何を描いているのか当ててみてください。」
「おう。」
野分は俺に見えないようにスケッチブックを立てて歌い始めた。
「まるかいてちょん まるかいてちょん♪」
出だしからしてお約束だな。目を描いたってことは生き物か。
「注射針2本ありまして〜」
「ちょっ…注射針!?」
「はい、針の部分だけなので線を2本引きます。」
それなら『棒が2本あったとさ』とかでいーんじゃね?わざわざ俺の嫌いな注射に例えんなよ…
「漏斗を逆さにかぶせます」
「は!?」
漏斗ってあれか?実験でつかうじょうごみたいなやつ?
「平たい丸底沈殿管♪」
「待て待て…何だそれは?」
「えっと…平たくて底が丸い沈殿管です。」
まんまじゃねーか!これだから理系は!!
「ピョコピョコピョコリンチャッチャッチャ♪」
「えっ…なに!?なに描いてんだ!?」
適当過ぎて何が何だか…
「顔を描いたらヒロさん♪…できました!何を描いたかわかりましたか?」
「俺。」
「正解です!やっぱり絵描き歌にするとわかりやすいんですね!」
いや、最後に『ヒロさん』って言ってるし…
「つーか、最後『顔を描いたら』って言ったよな?『まるかいてちょん』は目じゃねーのか?」
「乳首です。」
(バコン!!)
「痛った〜さっきのより強烈です…」
思わず拳を振り下ろしてしまった。一体どんな絵を描いてんだよ!
「ちょっと、それ見せろ!」
スケッチブックを取り上げて見ると…
漏斗が首と肩で注射針が銅のライン、なんとか沈殿管は顔の輪郭か。
「もしかして、『ピョコピョコ』とか『チャッチャッ』って言ってたのは髪の毛か?」
「はい!ヒロさんの髪、毛先がピョコピョコ跳ねてて可愛いです♪」
人が毎朝苦労してセットしてる髪形を〜!
殴り飛ばしてやろうかと思ったが、愛おしそうに髪を撫でてくる野分に、怒る気も失せてしまった。
「俺の絵、どうですか?」
「普通に描くよりは良く描けてると思うけど…」
「あーっ…ごめんなさい。下半身はまだ考え中で…」
「違げーよ!服くらい着せろ!バカっ!!」
振り下ろした腕をひょいとかわして、野分はスケッチブックを見ながら頭を捻っている。
「服…ですか。ハードル高いなぁ…」
はーっ…なんか絵描き歌に付き合ってたら疲れた。
うーん…と伸びをして立ち上がると、バルコニーから下の景色を見下ろした。
この前見た時はピンク色だった公園の木々がいつの間にやら若草色に変わっている。
「すっかり新緑の季節ですね。」
そう言いながら、野分もやってきた。
「緑もいいけど、桜ももう少し見たかったな。」
「ヒロさんは桜の花が似合いますもんね。」
「そ…そうか?」
眩しそうな目で見つめられて戸惑ってしまう。
やっぱり野分の感覚にはついていけない。俺みたいなガサツで乱暴な男、桜とは正反対じゃねーのか?
ハッ!!
「ああ、パッと咲いてパッと散るとこが似てるってわけか。短気で悪かったな!」
「また〜、ヒロさんは直ぐに悪い方に考えるんだから。そんなことちっとも思ってませんよ。ヒロさんは桜と同じくらい…いえ、桜の花より綺麗です。」
「っつ…///お前、よくそんなセリフを恥ずかしげもなく言えるな…」
「本当のことですから♪」
余裕顔で微笑む野分。敵わねーな…
「ヒロさん、ソメイヨシノって交配ができないって知ってます?」
「えっ…そうなのか?」
「人間が接ぎ木をしてあげないと増えないんです。」
「でも、沢山咲いてんじゃん。」
「それだけ沢山の人に愛されてるんですよ。ヒロさんも愛され上手だから心配です…」
「そんなことねーって。お前、心配し過ぎ!」
何を勝手に妄想して不安になってんだか。愛され上手なのはむしろお前の方だろーが。
だけど…俺も野分に愛されていればソメイヨシノみたいに…
いや、ない!ない!ありえない!!
「ヒロさん、今『自分もソメイヨシノみたいに子孫が残せるといいなー』とか考えませんでしたか?」
「へっ…べ…別に…なにバカなこと言ってんだよ///んなことできるわけねーだろっ!」
「このコーナー『何でもあり』なんですけど…子作り…」
「誰がするか!」
「えーっ!そんなにきっぱり拒否しなくても…」
「お前、ずっと前にこのコーナーで子供に焼きもち妬いてただろ。」
「あー、そんなこともありましたね。」
俺達の子供の顔が見てみたくないわけではないが…
「俺はお前がいてくれればそれでいいし。」
「変なこと言ってすみません。俺も、ヒロさんがいてくれるだけで十分です。」
いつもそう言ってくれるけど、野分は子供好きだから…
たまにはプライドを崩してガキみたいなこと言って甘えてやるか。
「それに、俺…誰にも邪魔されないでお前をずっと独り占めしていたいとか…思ってるから///」
「プッ…ヒロさん可愛い///俺のためにそんな恥ずかしいセリフを…頑張ってくれてありがとうございます♪」
見透かされてるし!
「嘘じゃねーから…」
カッコ悪いから態度に出さないようにしてるけど、俺だって野分に負けないくらい嫉妬深いんだ。
「大丈夫です。」
野分の鼓動を背中に感じながら、しっかりと絡められた腕にそっと手を重ねた。