純情エゴイスト〜のわヒロ編4〜
□野分の臨時休業日
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ご飯はレトルトだったけど、目玉焼きやお味噌汁はヒロさんの手作り。部屋まで持ってきて食べさせてくれた。
俺もヒロさんに「あ〜ん」ってして欲しかったけど、後でキッチンで食べるからと断られてしまった。ちょっと残念…
朝食の後も至れり尽くせりで、先輩が置いていった薬を飲ませてくれたり、着替えを手伝ってくれたり、退屈しないように本を持ってきてくれたり…
ちょこちょこ部屋にやって来ては用事がないか聞いてくれる。
昨夜は寝てないはずなのに、掃除や洗濯をして俺のことまで気遣ってくれて…
「起きないと!」
寝てろって言われたけど、ゴロゴロしてばかりじゃ返って不健康だ。
それに…折角3日間ヒロさんと一緒に居られるのに病人モードでいるのは勿体ない。
ベッドからピョンと飛び起きてリビングに向かう。ヒロさん、何してるかな〜
そろっと覗くとヒロさんはローテーブルでパソコンを開いて論文を書いていた。
「うーん…やっぱ資料がないと無理か…」
独り言をいいながら小さく溜息をついている。
研究室に行けば捗るのに、俺の所為でヒロさんに負担をかけている。
「ヒロさん。」
「野分!?なに起きてきてんだよ。寝てろって言っただろっ!」
「もう十分眠りました。寝過ぎるのも身体に良くないんですよ。」
「ああ…それもそうだな。何か飲むか?」
「それより、俺のことはもういいので資料が足りないなら取りに行ってください。」
これ以上ヒロさんに迷惑はかけたくない。
「あっ、もしかしてさっきの聞いてた?」
「はい。聞こえちゃいました。」
ヒロさんは気まずそうに顔を背けてしまった。
「えっと…迷惑じゃねーから!確かに資料がないと書けないところもあるけど、今はお前の傍から離れたくないんだ。」
「どうしてですか?」
津森先輩から俺が安静にしているように見張りを頼まれてるとか?
「だって、土日含めて3日もお前が家にいるんだぞ。こんな機会滅多にねーし…一秒でも長く一緒にいたいとか…思ったりしてるから///」
「へっ?」
「だから、俺は自分の意思でここにいるんだ!悪いか!」
「あっ…あ〜〜〜〜〜っ///」
「変な声出すな!」
「ヒロさん///」
嬉しい!ヒロさんがそんな気持ちでいてくれたなんて…
思わずヒロさんに飛びついてしまった。
「のわっ…おい!俺はまだ仕事中だ!放せ〜!!」
ヒロさんはバタバタと暴れているけれど、今はこうして抱きついていたい気分なんです。
思い切りぎゅ〜っと抱きしめて想いを伝える。
「ヒロさんが好きです!」