純情エゴイスト〜のわヒロ編2〜

□野分のハッピーハロウィン
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「だたいまです。」

リビングのドアを開けると、ヒロさんは本に埋まってソファーで眠っていた。

一日中本を読んでいたのかなぁ…俺を待ちくたびれて眠ってしまったのかもしれない。

可愛い寝顔にたまらなくなって軽くキスをした。…起きないか…

ヒロさんに毛布をかけて、先に晩ご飯を作ることにした。今夜はカボチャ料理にしよう♪

カボチャの煮物にカボチャ汁、天ぷらにカボチャの炊き込みご飯…

β-カロチンいっぱいのメニューを食卓に並べていると、ヒロさんが目を擦りながら起きてきた。

「悪い…寝てた…」

「おはようございます♪」

「おはよう…って、もう晩飯か…ん!?お前何て格好してんだ!?」

王子様の衣装にエプロンをつけた俺を見てヒロさんは目を丸くしている。

「ハロウィンの衣装です。折角だから今日一日着ていようと思って。」

「王子…さま?」

「はい♪だけど、キスしても眠り姫が起きてくれなかったのでダメ王子ですね。」

「キス…って、おい///」

ヒロさんは口を押さえて真っ赤になっている。可愛い♪

「もしかして、その格好で本屋に行ったとか?」

「はい。流石にちょっと恥ずかしかったですけど、ヒロさんのために頑張りました。」

「偉い!お前、スゲーな。」

ヒロさんは感心した様子で、俺の頭を撫でてくれた。

「ご飯できたので食べましょう。本とお土産はご飯の後であげますね。」

「うん。」



ヒロさんが後片付けをするのを待って、今日の戦利品を渡した。

ヒロさんは目をキラキラさせて嬉しそうにしている。

「わー♪ストラップと…ボールペンまで…スゲー嬉しい!!野分、ありがとな!」

優しげな目でパンダを見つめるヒロさん。可愛いけど、やっぱりちょっとだけパンダに嫉妬してしまう。

俺もあんな風に見つめられたいなぁ…

「そのストラップどこにつけるんですか?ヒロさん、スマホですよね?」

「仕事で使ってるUSBメモリーに付けるとこあるんだ。やっぱり仕事中でも癒しは必要だよな〜」

ヒロさんと一緒に通勤できるなんて…パンダが羨まし過ぎます。

まてまて、パンダに嫉妬してる場合じゃなかった。俺はヒロさんと…

「それじゃ、次はヒロさんの番ですね♪」

「うっ…ああ、約束だからな。覚悟はできてる。」

衣装の入った紙袋をヒロさんに渡すと、ヒロさんは渋々受け取った。

「部屋で着替えてくる…」

ヒロさんは紙袋と本を持って部屋に入って行った。

もうすぐ可愛いヒロさんが見れる♪いつも可愛いけど、今夜は特別…

ウキウキしながら待っていると、ドアが開いてヒロさんが顔をだした。

「そっち行かなきゃダメか?」

「はい♪出てきてください。」

「やっぱ恥ずかしい///」

「しょうがないなぁ…ヒロさん、お手をどうぞ♪」

ドアの前まで行って膝をつくと、ヒロさんに手を差し出した。

「何王子になりきってんだよ…恥ずかしいヤツ///」

そう言いながらもヒロさんは俺の手を握ってくれた。すかさずキュッと引っ張ってヒロさんを部屋から出した。

わ〜///可愛い…やっぱり良く似合う///

恥ずかしそうに俯くヒロさんの姿に見とれてしまう。

「そんなにジロジロ見るな!常識の範囲でって言ったのに…お前の常識はどうなってんだ。」

俺が選んだのは、フワフワの天使の衣装。短めのスカートからはヒロさんの白くて綺麗な足が覗く、後ろに長いシースルーのオーガンジーが付いていてちょっとだけ色っぽい。

真っ白な衣装に、羽飾りの付いたハーフブーツ、背中には可愛らしい天使の羽が付いている。

それに、フワフワの羽でできた髪飾りもヒロさんに良く似合う…

「やっぱり、ヒロさんは天使です///」

もう一度手を取って手にキスをすると、ヒロさんは真っ赤になって固まってしまった。

「そんなに緊張しないで。俺だけしか見てませんから、大丈夫です。」

「お前だから…余計に恥ずかしい…」

頬を染めるヒロさんを抱き締めて、今度は唇にキスをした。

「可愛い…ヒロさん、好きです。」

返事はなかったけれど、後ろにまわされたヒロさんの手が俺の背中をキュッと掴んだ。
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