純情エゴイスト〜のわヒロ編2〜
□後悔先に立たず?
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翌日からは連勤で俺は家に帰ることができなかった。その間に、ヒロさんは新しいパソコンを買ってきてずっと資料作りをしていたようだ。
早朝に帰宅したら、ヒロさんはリビングでパソコンを開いたまま眠っていた。
画面を見ると、ヒロさんが作っていたのはかなり細かい資料で1日2日で出来るようなものではなかった。昨日も休みを返上して作っていたのだろう。
申し訳ない気持ちで溜息をつくと、ヒロさんが目を覚ました。
「野分?…お帰り…」
「ただいまです。ヒロさん、こんなところで寝てると風邪ひきますよ。ベッドに行きましょう。」
「うん…資料、作り終わった…」
「頑張りましたね。」
「今日は休み…だよな?」
不安そうにそんなことを聞くのは、休みの予定でも急患でダメになることもあるから。でも、今日は…
「休みですよ。映画、行きましょうね!」
「うん///」
嬉しそうに頷くヒロさんを支えて、ベッドに向かった。
寝室に着くとヒロさんはベッドに倒れ込んでそのまま眠ってしまったけれど、俺は夜勤明けなのに眠れそうになくて…腕枕をしながらずっとヒロさんの寝顔を見つめていた。
駅前のカフェでブランチを食べて、映画館にやってきた。
ヒロさんは平静を装っていたけれど、時々俺の顔を見上げては楽しそうにしていた。
食事中に『パソコン代を払わせてください』と言ったら、『買い替えようと思ってたとこだって言っただろっ!!』と突っぱねられてしまった。
ヒロさんは優しくて…決して俺を責めようとはしない。だから余計に罪悪感を感じてしまう。
俺に出来ることは、デートでヒロさんを満足させることくらいだ。そう思って、暗い顔だけは見せないように頑張ることにした。
それなのに…肩にいつも以上の重みを感じながら、眠っているヒロさんを見つめた。
起こした方がいいのか、このまま眠らせてあげた方がいいのかわからない。
ヒロさんの柔らかい髪を撫でながら、ごめんなさい…と、心の中で謝った。