純情エゴイスト〜のわヒロ編2〜
□野分のハッピーハロウィン
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夜勤を終えて早朝に帰宅した。この時間ならヒロさんと一緒に朝食が食べられそうだ。
今日の朝食当番俺だっけ?ここ数週間、朝食を家で食べていなかったからわからなくなってしまった。
ヒロさんの手作りご飯を食べたいところだけど…毎朝寂しい思いをさせてしまっているから俺が作った方がいいよね…
「ただいまです。」
ヒロさんを起こさないように小さな声で挨拶をしながら玄関の扉を開けると、リビングから香ばしい匂いが漂ってきた。
料理してるのかな?だけど、朝に弱いヒロさんがこの時間に起きているとは考えにくい。もしかして、何かが焼け焦げてるとか!?
慌ててリビングに駆け込むと、キッチンにヒロさんが立っていた。
「お帰り。そんなに慌てて、どうしたんだ?」
血相を変えて入ってきた俺を見て、ヒロさんはキョトンとしている。
「ヒロ…さん?何してるんですか?」
「何って…朝飯作ってんだけど。」
「まだ6時半ですよ。もしかして徹夜したんですか?」
「してねーよ!俺だって毎朝遅刻ギリギリまで寝てるわけじゃねーんだからなっ!」
ちょっと不満そうに頬を膨らめながら、ヒロさんは味噌汁の入った鍋をグルグルと掻き混ぜている。
「すみません。ちょっと、ビックリしてしまって…朝食作ってくれてありがとうございます。」
「今日は俺が当番だから当然だろ。一人ならともかく、久々にお前と一緒に朝飯食えるのに寝てられるかよ///」
ヒロさんは顔を背けたままちょっと照れくさそうにしている。
「ヒロさん///」
俺のために頑張って早起きしてくれたんだ。すごく嬉しい。俺、世界一の幸せ者かも♪
思わずヒロさんの背中に飛びついてぎゅ〜っと抱き締めた。
「野分…火使ってるから…危ない…」
戸惑っているヒロさんの顎に指先をあてて俺の方に顔を向けさせる。それから、軽くキスをした。
「ヒロさん、大好きです♪」
にっこりと笑ってみせると、ヒロさんは顔を真っ赤にしてコンロの火を止めながら
「バカっ///」
と呟いた。