創作小説 砂のしろ
□1章
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妄想で鍛えた空想脳と生まれ持った想像力で、私は自分の置かれた状況を理解した。
今の私は椅子に座っていて、机の上には書きかけのレポート用紙。手にはシャーペン。目の前にいるのは、私の顔を不思議そうに覗きこむかんな。
「どうしたの?美冬?」
私はすぐさま笑顔をつくった。少しぎこちなくなってしまったかもしれない。
「何でもないよ、かんな。」
かんなは何も気にしない様子で、すぐに自分の手元へと目を落とした。
私は泣きそうになるのをこらえながら、音をたてて拍動する心臓を必死に抑えていた。
ーーー戻っている。