マギ

□ヒューマノイドと恋の行方*
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捕らわれていたはずの
2人は
自由の扉を開けていきました。



「ヒューマノイドと恋の行方」


王宮に、2体の人型ロボットが来た。1体は男性を模っていて、もう1体は女性。
なんでも、他国から仕入れた試作品ヒューマノイド。と言うものらしい。

仕事の合間に、庭の横を通る。
いつも見てしまう。
庭の端、1番日当たりのいい場所にいつも並んで座っているヒューマノイドたち。
何をする訳でもなく、空を見上げていた。
あの2体を見るたびに、
ジャーファルの心にはある思いが浮かんでいた。
((あの人と、あんなふうに寄り添って空を見上げる事が出来たら―。))
ジャーファルはあの人―シンドバッドに恋心を抱いていた。
でも、これは外に漏らしてはいッない秘密の思いだった。
そんな思いを抱いているからこそ、寄り添うヒューマノイドたちを見るたびに叶えられない辛さと、やきもちを抱いていた。


そんなある日、

王宮の庭から、
2体のヒューマノイドが消えた。
みなは口々に
『さすが試作品。
何をしでかすか分からん』
『自我を持っているとしたら、
凄いことじゃないのか?!』
などと口走っている。

そんな中、1人の男がこう言った


「あのヒューマノイドたちはきっと恋に落ちたんだ。だから、自由を求めてここを出て行った。
幸せに暮らせると良いな・・・。」



と。 その言葉を聞いて、
ヒューマノイドたちを見る度に抱いていた感情が蘇ってきた。
ジャーファルは小さな声で、

「私も彼らのように、好きな人と自由になれたら良いのに・・・。」

もちろん、好きな人と一緒に居る資格も、自由になれる訳もない。
感傷的になっていると、
後から声がかかった。
「何だジャーファル。とうとうお前にも想い人が出来たか!!そういう年頃だしな。今まで聞いた事なかったから、一生独身を貫くのかと思ったよ。」
そう言いながら、歩み寄ってきたのは、私の想い人で・・・。


一瞬、心が痛んだ。


その間にも、彼は話を進めていく。
「詳しく聞こうじゃないか。お前の想い人がどんな人か知りたいしな。今夜、酒でも飲みながらゆっくり話でもしよう。」
笑顔で言う彼を、直視できなかった。
この想いは、決して伝える事はできず、閉まっておかなければならない。


「そんな無駄話するくらいなら、さっさと仕事して下さい。それに、私にはそんな人居ません。」


自分の心に嘘をつく。
私はこれでいい。
自信はないが、なんとしても一生隠し通してみせる。

だから、自由になった
ヒューマノイドたちは、
私の分まで、幸せになって。
どうか・・・。





彼らの恋は
永遠に続きますように。


Fin.

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