銀土
□リア充は害だ。
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かぶき町のとある所にある人生相談所。カラクリが聞いてくれる一風変わった場所だ。
ここは身分を明かさなくても、さまざまな事が相談出来るとあって、中々の人気がある。
そんな場所にとある男が相談しに来た。
「あ、あのー…今、人生に迷ってて……」
明らかにジミなやつがカーテンをくぐって入って来る。
『どうぞ、おかけ下さい』
「は、はい」
恐る恐るといった体(てい)で、椅子に腰かけた彼は、深いため息をつきながら、赤く腫れた頬をさする。
『どうなさったのですか』
「…とある上司についての相談なんですが……」
相談所にくる数日前。
真選組屯所内、副長室前の廊下にて。
「あー!無ェ!!無ェ!!」
「どうしたんです!?副長」
土方がぎゃぁー!と叫びながら、机の引き出しを漁っているので、何か大事なものを無くしたかと、慌てて襖を開ける。
「無ェ!何処にも無ェんだよ!」
「何がです?」
尋ねてみても、わぁわぁと騒ぐばかりで答えてくれない。
珍しい。土方は大事なものを無くしたりはしない。きちんと管理しておくマメなタイプだ。
普段、落ち着き払っている土方が(単に銀時以外の人に興味が無いだけ)ここまで右往左往するとは。まさか。
「察しがいいじゃねぇかィ、ザキ」
「沖田隊長……やっぱり」
部屋の隅で呆れたように立っていた沖田が懐から何かを取り出す。
「コレを探してるんでさァ」
そこにはスーパーで一人、買い物をしている銀時が写っている。
買い物カゴを片腕に通して材料を選ぶ姿は、中々にかっこいい。
「土方さんのお気に入りで、隠し撮りしては大事に机の引き出しに仕舞ってるって訳なんだかねィ……」
「あー、つまりは宝物ってやつなんですね…」
だからと言って、隠し撮りはどうなんだ?仮にも特別武装警察なのに。
でも、目の前でわたわたしている副長はやはりかわいらしい。