記念部屋
□何でもないしあわせ♪
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もきゅもきゅ…もきゅ…
「十四郎、うまい?」
「ふん、ふふしい!(うん、おいしい!)」
「そっかぁ〜」
どうしようもなく甘々な空気を、正月から出しているリア充な二人はかぶき町では専ら、有名なカップルだ。
夜になって、比較的早く上がれた土方は、愛する銀時と共によく二人で訪れる定食屋に来ていた。
まぁ、メインはいつものどんぶり的なあれだが、それだけでは栄養が偏るとサラダなどを頼んで分けながら食べる。
「あーん」
「あー……うん、おいしいね」
……あまりにも甘い雰囲気の為、独り者には少々辛い。
土方と銀時はテーブルを挟んで、向かい合わせに座っているのだが、いっそ、“もうお前ら、隣同士で座れよ”という位、顔をくっつけている。
「二人でゆっくり過ごすのも久方ぶりだな。……十四郎、ほっぺ、ご飯粒」
「…ん、とって」
ペロリ。……店内で何人かが倒れた音がした。
「どっか、行きたいとこ…ある?」
リスのようにもきゅもきゅと、頬一杯にする十四郎の世話をしながら、そう問えば、
「……ふふずや(万事屋)」
と、かわいい答え。
「了解。食べたら帰ろうね」
頬を赤く染めながら、うんと頷く恋人に愛おしさを抱えながら、箸のスピードをあげる銀時だった。
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「ふ……ん、ふっ、銀……」
「はぁ…とおしろ……」
誰もいない万事屋に着いて直ぐ、寝室になだれ込み、何度か互いに果てた後。
対面座位のまま、ぎゅうと抱き合って月明かりだけが差し込む静かな、それでいて濃密な時間を共有する。
「銀……」
おもむろに、土方に耳元で囁かれ、ん?と目線を合わせれば。
「……今年も宜しくな」
と、とろんとした濃藍の瞳が赤紅を包む。
ああ、そうだった。
もう、付き合って何年だろうか。
時の糸を紡ぎ紡ぎ、ここまで来れたのも、十四郎が居たからだ。
ふくふくした白い頬に片手を添えて、
「……宜しくな」
胸に温かな、感触を抱き締めながら、熱々な恋人達は、夜を過ごした。
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