記念部屋

□年越しを二人で。
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「副長、何処かヘ行かれるんですか?」


寒さで軋む板張りの廊下を、いつもより防寒した格好で歩く。


「あ?ああ……ちょっと、な」


すれ違いかけた隊士が不思議に思ったのも、無理はない。


非番に自分が出歩く事は余り無いので、(マヨが切れた時は別。)こんな時間から出ようとしているのが珍しいのだろう。


問われた土方は、出掛ける理由を考えたが下手に嘘を吐きたくなくて、誤魔化した。


が、しかし、タイミングが悪かった。
柱にもたれてサボりをきめていた総悟が、からかい混じりに、此方に歩いてきたのだ。


「バカだねィ。ちょっとは頭を使いな。この着流しは土方さんの一張羅。この羽織は旦那とのデートで旦那に買って貰ったモンだ」


何故、お前がデート内容を知っている?


土方が声を張り上げるよりも先に、隊士はああ、と 納得してしまう。


「万事屋の旦那ですね。あ、今からデートですか!引き留めてしまってすみません!」


慌てて頭を深々と下げてくる隊士に、何も言えないまま、総悟に背を押されてしまう。


「さ、さ。土方さん、時間に遅れますぜ」


何でこんなに色々とバレているのだろう。


そう思いながらも、柱の振り子時計が6時を示していたので渋々、外へ出た。
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