記念部屋

□手作りリップクリーム
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「痛そうだな……」


久しぶりの非番を勝ち得て、昼から万事屋に来ていた土方は夕方、珍しくソファーでうたた寝をしている銀時の唇を視界に留める。



もう冬だからか。縦に深く切れてしまい、血まで滲む始末。



この男は、いつも人の事ばかりを考えて動く為、自分の事にはかまけてしまう癖がある。



「………」


テレビも点いてないシンとした空間で、二人きり。



魔が、さしたか。



そっとソファーの前にかがみ、銀時の唇に顔を寄せる。



ペロペロ…ペロペロ…ペロペロ。



赤く火照った舌で猫のそれのように、舐め始める。



「……ん、土方ァ……?」


その感触で目を覚ましたか、銀時は寝ぼけ眼で目の前の恋人を見やる。



ペロペロ…ペロペロ。


まだ、止まない。


「ん……くすぐってェ…ふふふ……」


ぴりぴりと痛みが走るが、それよりも
眼前に広がる美しい蒼眼をもっと見ていたくて。


常に拡張され気味の瞳孔も、きつい眼差しも二人の時は柔らかく。



かわいいと、銀時を絶えず悶えさせる。


「はぁ…銀……」


熱っぽく囁いて、銀時の首筋に鼻先を擦り付ければ。



「大好き……十四郎……」




銀時の逞しい腕が十四郎の腰を抱き寄せて。



もっと深いキスを送りながら、熱く抱き合った。







情事後。着流しだけは互いに纏って。
(ナチュラルに交換した。土方が望んだのだ。)


「…なぁ?こんなに切れてて…痛くねェの?」


ソファーの上で銀時の膝の上に乗っかって唇をふにふにと触る。



「いてっ。痛いよ?あー、リップクリーム……無くしたしなぁ…」



思案顔で在り処を思い出そうとする銀時を見て、土方は内心でとある決意した。







三日後。



「……あり?何だろ……」


銀時が出先から戻るとあったもの。それは透明な小瓶に入った淡黄色のクリーム。万事屋のテーブルにちょんと置かれていた。



蓋を回して開ければ、甘いハチミツの匂い。




「たべ……もの?」



少しだけ掬って口に含む。甘くてとても美味しい。微かにハーブの味もする。




「…銀、それ、食べもんじゃ…ねェ…」


聞きなれすぎた声に居間の入り口を振り返れば、やはり、愛おしい土方の隊服姿。



仕事が終わってから来たのだろう、苦笑い気味に近づいてくる。



「銀が、唇切ってるからな。手作りのリップクリームだ」



「マジでェ!!」


改めて瓶の中身を見ると、艶々として美味しそうにしか見えない。



「貸せよ?塗ってやる…」



クリームを掬い、至近距離で見つめ合う。


優しく塗られていくそれは、唇の傷のみでなく、もっと深くまで浸透していくようで。




「ありがとう…痛くなくなった」



ぎゅっ、と力を込め、良く出来た嫁を抱き締めた。



「唇、怪我して…キスの時間が減ったら…やだからな…」


ふわふわな銀髪に頬擦りしながら、土方も抱き締め返した。



甘い夜はまだまだこれからだ。



―――――――――――――――――


リップクリームを手作りしてるときに思い付きました。


寒いですね〜!ほんと、寒い(´・ω・`)



このカップルたちはアツアツですが。




えーえー。この子達に倦怠期は来ないでしょう!


よかったね!

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