リクエスト集

□ずっと前から
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部活が終わると
またまたダッシュで
弓道場の前まで走る。


玲奈ちゃんは袴姿なので
着替えに時間がかかる。


部室前で待っていると
制服に着替えた玲奈ちゃんが出てきた。



「玲奈ちゃん!」

声をかえると
振り向いたが
私の顔を見るとご立腹気味。


「もうっ!珠理奈、
練習中なのにあんなに大きな声で呼ばないで!
恥ずかしいでしょ!?」


「ごめ…」


「それと、私、これから
用事あるから、一緒には帰れないから!」


「え…。」


珠理奈は何も言い返せず、
しばらくその場で立ちつくしていた。







今日は誰にも会いたくないや。


そう思って、
体育館の裏側から
学校の裏門へと抜けようとする。








「松井… 来てくれたんだ…」



どこからか、自分の名前を呼ばれたが、どこにも人影がない。



「俺と付き合って…」

「ごめんなさい!」


今度は聴き覚えのある声。

玲奈ちゃんが告白されてる。

「私、ずっと好きな人がいるから…」


そう言って、玲奈ちゃんの
走っていく音が聞こえた。







珠理奈の心臓はドクドクと
波打っていた。



玲奈ちゃんが告白されていた…

そして、玲奈ちゃんには
ずっと好きな人が…




そんなの、聞いてない!
知らない!
納得できない!




珠理奈は
涙を拭きながら
心の喪失感をかき消すように
家まで全速力で走った。
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