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□君の分まで 中編 さやみるきー
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ガラガラガラッ
少し引きにくくなっている
プールの入り口の引き戸を引く。
「あ、また負けてもうた。」
「あ、彩ちゃん!おはよ!
今日も早いんやなぁ」
こいつは渡辺美優紀。
近所に住む同い年の腐れ縁。
と、いうか、腐れ縁にならぬよう
こいつが私のひっつき虫になっている。
と、いうほうが正しいかもしれない。
「いや、そういうみるきーのほうが早いで。ほんまにいつも何時に起きてんねん!」
「えー?まぁー、4時半とか?笑」
「もう、修行僧やな、それ。」
「当たり前やん?彩ちゃんのための世界一のマネージャーになるねんで!」
そう、こいつは
難波女学院水泳部のマネージャー。
しかし、唯一の。
本来、この水泳部ではマネージャーを取らない。
だが、美優紀は特例である。
私と美優紀は
スポーツ特待生として
この偏差値の高い難波女学院に
入学してきた。