執事シリーズ
□カイきゅんの執事B
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その日の夕食の時間
珍しく、家族揃ってのディナータイムに、ママが爆弾を落としてきた。
「ねぇ、前から考えてた事なんだけど、ギョンス君、カイと結婚して、家に養子に入らない?」
カイきゅんは、スープを吹き出しそうになるのを、どうにか堪えました。
ギョンスも目を見開いたまま固まっています。
「だって、我が家は代々政治家の家系だけど、カイにはバレエがあるし、絶対に政治家なんて無理でしょ?
ギョンス君なら優秀だし、将来、パパの跡を継いでくれたら安心だわ〜」
「うーん、確かに、カイがパパの跡を継いで政治家になるのは無理そうだな…
ギョンス君になら、確かに安心して任せられる。
ただ、本人たちの気持ちも尊重してあげないと…」
と、パパはカイキュンとギョンスの顔を交互に見て言いました。
「そうねぇ、カイはどうなの?」
「け、け、結婚の事なんて、まだ分からないよ…」
顔を真赤にして、俯いたまま言いました。
「今すぐにって訳じゃないのよ?将来の予定としてよ?
ギョンス君は、どうかしら?」
「は、はいっ
私には、大変勿体ないお話しなのですが、ちょっと即答は出来かねます…」
ギョンスも顔が真っ赤で、ちょっと声が裏返ってしまいました。
「そうねえ、ギョンス君は養子に入ってもらう事になるし、そうなると、ご家族とも相談する必要もあるだろうし…
まぁ2人とも、ちょっと考えてみてちょうだいね。」
その後の食事は、何を食べたか覚えていないくらい、心ここにあらずなカイきゅんでした。
大好きなギョンスと結婚できたら嬉しいけど…
ギョンスは、ぼくとの結婚について、どう思っているのだろう…
迷惑だと思ってないかな…
もしかして、他に結婚したい相手がいたりして…
食後、心が落ち着かないカイきゅんは、ダンス室で踊っていました。
踊っている間は、無心になれます。
ダンス室に迎えに来たギョンスに声を掛けられるまで、ギョンスが来た事にも気が付きませんでした。
「カイ様、物凄い集中力ですね」
ギョンスは、あぁ、この人は本当に踊るためだけに生まれてきたんだな…と改めて思いました。
「ねぇ、ギョンス…さっきの話し、どう思う?」
集中して踊ったお陰で、スッキリして気分が高揚しているカイきゅんは、思い切って話しを切り出しました。
ギョンスは、正直な気持ちを伝えます。
「私は、政治家になるのが夢でしたが、今は、カイ様が踊っている姿をずっと見ていたいです…
あなたが踊っている姿が…好きなんです」
「ぼくも…ギョンスが見守っていてくれたら、ずっと踊り続けられる気がする」
「ずっと…一生、カイ様のそばにいても良いですか?
あの…カイ様?」
いつの間にか、カイくんの瞳から涙が零れていました。
「あれ?嬉しくて…涙でちゃった」
へへへっと照れ笑いするカイきゅんを、ギョンスがそっと抱き寄せました。
「カイ様、私と結婚して下さいますか。」
「はい…」
カイきゅんも、ぎゅっとギョンスを抱きしめ返しました...
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