執事シリーズ

□カイきゅんの執事
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次の日、学校の帰り際、仲良しのタオちゃんとセフンに、また恋について聞いてみました。

「ねぇ、恋してる時って、どんな気持ちなの」


「それはもう、毎日が楽しくて楽しくて仕方ない感じだよ

その人の事を考えると、ドキドキするし…ムラムラしちゃう〜」

「ムラムラ?」


「そうそう、ドキドキ・ワクワク!そしてムラムラ!」

「ムラムラ??」


「タオー!ムラムラするから、抱きしめていい??」


「も〜、セフナったら、おもしろーい」

今日もタオちゃんに、軽くかわされるセフンなのでした。


「じゃあ、チクチク、ズキズキするのは?」


「それも、恋ですよ、カイ様…」


「あ、クリスぅ」


「失礼致しました。お話しが聞こえてしまったもので…」


「クリスさん、チクチク、ズキズキするのも恋なんですか?」


「そうです。恋をすると、色々な感情が沸き上がってくるんですよ。

カイ様は、ひとつ大人になられたのですね。」
クリスはニッコリ微笑んで、カイきゅんの頭を撫でました。


「あーーー!クリスぅ!ずるい!ぼくもぼくも!」
と、嫉妬してクリスの背中に飛びつくタオちゃん。


そこに訝しげな顔をしたギョンスが来て、

「あの…カイ様、どうかされましたか?」


「何でもないよ!ギョンス、帰ろう!」
と、カイきゅんは慌てた様子で、ギョンスを引っ張って車に向かいました。


「カイ様、何か悩みがあるのでしたら、クリスさんではなく、私にご相談下さい。

私がカイ様の執事なのですから…」


「うん、ごめんね…」
でも、ギョンスに関することだから、ギョンスには相談できないんだよ…

心なしか、ギョンスが怒っているみたいで、カイきゅんは、また胸がズキンとしました。



その日のレッスンで、

「カイきゅーん、最近、ますます良い感じになってきたじゃなーい♪

恋する男の憂いみたいな感じぃ?表現に、深みが出てきたわぁ」
と、先生に言われました。

クリスの言うとおり、ぼくはギョンスに恋しているのかな…



そして、唐突ですが、カイきゅんの誕生日がやってきました。
お家で大々的にバースデーパーティーが開催されます。
親戚、知人、カイきゅんのお友達も招待し、ちょっとした余興なども用意されていました。

お母さんのいた歌劇団の後輩の人達のレビューや、有名マジシャンのマジックショー、人気お笑い芸人のコントなど、お母さんの芸能界の繋がりで、なかなか豪華なイベントになりました。

そして、余興のトリは、お母さんの歌…かと思ったら、お母さんと一緒にギョンスも登場
そしてお母さんの伴奏で、ギョンスが歌います。

2人で音楽室に篭っていたのは、練習の為だったのです。


そして、カイは初めてギョンスの歌声を聞きました。
その歌声に、カイきゅんは胸がキューーーンとしました。


「何か、胸がキューーーンってする…」
と呟いたら、横で一緒に見ていたタオちゃんに


「カイが恋してる相手って、ギョンスさんだったんだね…」
と言われました。


「何で?」


「だってカイ、泣いてるよ…」
気付かないうちに、涙が零れていました。


タオちゃんがカイきゅんの肩を抱いて

カイのために、こんな素敵な歌を用意してくれるなんて、ギョンスさんもきっと、カイのこと…
と、声には出さず、心の中で思っていました。


歌い終えて、ギョンスがカイきゅんの所に戻ってきました。

カイきゅんは、何も言わず、ギョンスにギュッと抱きつきました。

ギョンスは、恥ずかしそうに頬を赤らめながら

「カイ様、お誕生日おめでとうございます。」
と言って、カイきゅんの背中を、トントンと叩いてくれました。


そして出席者達の拍手に包まれ、カイきゅんのバースデーパーティーは、和やかに終了しました。





これは秘密の話しなのですが…


ギョンスは、元々カイきゅんのお父さんの元で政治家になるために勉強中でした。
政治勉強会の忘年会の余興で歌わされたギョンスを見て、その歌声に惚れ込んだカイきゅんのお母さんのたっての希望で、カイきゅんの執事を頼まれたのです。

でも、最初は断るつもりでした。

ところが、ギョンスはカイきゅんのお母さんに連れられて、カイきゅんがバレエのレッスンを受けているところを見ました。

踊るカイきゅんを見て…ギョンスは、一瞬で恋に落ちました。
一目惚れです。

そして執事になって、カイキュンの側で、自分の出来る限りでサポートしようと決心しました。


ギョンスが今、恋している相手…それはカイきゅんの事だったのでした。


(完)
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